院内勉強会を行ったため、報告します。
<足根骨癒合症>
定義:2つ以上の足根骨が先天的に線維性、軟骨性
骨性に癒合している状態。
分類:足根骨癒合症の発症頻度は1%以下とされるが
距踵骨・踵舟状骨で半数以上を占めている。
症状:
1、距踵骨癒合症
後足部痛を訴えられることが多いが、疼痛箇所が
明らかでない場合もある。外傷に伴い発症するこ
ともあるが、特に誘因なく発症することも多い。
主に、足関節の背屈、内反の可動域が制限される。
載距突起の後方から距骨後方突起の部分に骨性隆起
が認められる。
2、踵舟状骨癒合症
運動後に足部外側(二分靭帯周囲)に疼痛を訴える
ことが多い。外傷を契機に発症する場合もあるが全く
誘因なく発症する場合もある。
主に足関節の底屈、内外反の可動域が制限される。
治療:
1、保存療法
疼痛が強い場合は、ギプス固定、シーネ固定、足挿板
などが選択される。
無症候性では、経過観察するのも選択肢の1つではあるが、
可動域の制限は遺残する。
2、観血的治療
若年者では、癒合部切除が行われる。
成人では、X線上すでに退行性変化が認められる場合は、
関節固定術が行われる場合もある。
<足部骨端症>
1、Sever病(踵骨骨端症)
病態:踵骨骨端核が出現する7~8歳頃から完全に癒合する
14~15歳までの期間にアキレス腱や足底筋膜の張力
や踵骨に対する繰り返される刺激により同部に疼痛が
出現する。
症状:荷重時の踵骨の疼痛である。程度は様々で激しい運動時痛
のみの痛みを感じる場合からひどくなれば踵骨の接地歩行
が困難な場合もある。
治療:運動制限、足挿板やヒールパッドの使用、アキレス腱の
ストレッチなどである。一般的に予後は良好で数か月で
症状は軽快し、後遺症は残さない。
2、第1ケーラー病
定義:舟状骨に生じる原因不明の無腐性壊死とされている。
主に5~9歳の男児に多く発症する。
症状:舟状骨周囲の疼痛、跛行、圧痛がある。発赤、熱感
などの炎症所見は通常認められない。
治療:予後は良好で後遺症を残さない。よって疼痛時には
運動の制限、足挿板などの保存治療が選択される。
3、第2ケーラー病
定義:原因不明の中足骨頭背側に生じる無腐性壊死とされ
ている。10~18歳の女児に多く発症する。罹患骨
としては、第2中足骨が最も多く、第3中足骨がこれ
に次ぐ。稀に第4中足骨に生じる。
症状:運動時の前足部痛を訴える。同部の腫脹が認められる
こともある。症状が強くなれば通常の歩行時の踏み返し
の時や安静時にも疼痛が出現する。
治療:本症は他の骨端症とは違い必ずしも予後はよくない症例も
ある。安易な患者への説明は好ましくない。初期の疼痛の
強い時期には、ギプス固定、免荷が推奨される。足挿板の
挿入も有効な手段である。変形が遺残したり保存的療法が
無効な場合、中足骨の骨切り術なども行われる。こともある。
<有痛性外脛骨>
定義:外脛骨は足部の過剰骨の中で最も頻度の高いものであり、
正常人の約15%に認められるとされる。多くは両側性
で女性に多いとされる。舟状骨の内側後方に存在し線維性、
軟骨性、骨性に癒合している。症状がなければ問題はないが
スポーツ活動や外傷をきっかけに疼痛が出現すれば有痛性
外脛骨障害となり治療対象となる。
症状:10~15歳の思春期に症状が出現する。舟状骨内側後方に
骨性隆起を触知し同部の圧痛が認められる。繰り返される
運動により徐々に疼痛が出現することもあれば外傷を契機
に出現する場合もある。
治療:保存的療法として運動制限、外脛骨部の圧迫をされるため
足挿板の挿入、疼痛部へのステロイド注入などがある。
骨成長により自然治癒することも多い。早期のスポーツ復帰
を希望する場合は観血的療法として、若年者には経皮的ドリリング
が侵襲が少ない方法がある。