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クリニックブログ BLOG

院内勉強会「足底腱膜炎の診かた」「母指種子骨障害の治療」

●はじめに

こんにちは、理学療法士の渡邊です。3月1日に行われた院内の勉強会に参加しました。
今回のテーマは「足底腱膜炎の診かた」「母指種子骨障害の治療」についてです。



●足底筋膜炎とは?

 足底腱膜とは、踵骨隆起から起始し、足底筋群を覆う筋膜で遠位は各趾の基節骨に付着します。この腱膜が炎症や変性をきたしている状態を足底腱膜炎と定義されています。しかし、近年欧米ではその本態は炎症ではなく難治性の有痛性変性病変が主体であるため、「足底腱膜炎」ではなく、「足底腱膜症」とする傾向にあります。

 米国の報告では、10人に1人は足底腱膜炎の疼痛に悩まされたことがあるとされるが、その90%は1年以内に保存治療で治癒されます。


 本症において、病変が踵骨隆起内側の付着部であったり、それより遠位の実質部に限局していることもあります。前者では、一般の中高齢者に、後者ではランナーをはじめとしたスポーツ選手に多い傾向にあります。



●足底筋膜の解剖学的特徴

 前述の通り、足底腱膜は踵骨隆起から起始し遠位は各趾の基節骨に付着します。強靭な中央部分が足底腱膜であり、足部のアーチの保持に寄与しています。弾性率は4%と弾力性に富む組織ではありません

 歩行において、踵接地時には踵骨付着部内側にかかるcontact pressure(接触時の圧力)は高まり、歩行では体重の110%、走行時には200%にも及びます。立脚後期においても、母指のMTP関節伸展、下腿三頭筋による底屈力がアキレス腱を通して牽引が加わり、腱膜への負担が増大します。このように腱膜は弾力性に富む組織ではないのに対して、様々な負荷が加わる為、障害を受けやすい組織になります。

 


●足底腱膜炎の病因


 外的因子としては、過度、または急激なスポーツ活動への参加、立ち仕事や硬い靴で長時間歩行するような職業などが関連します。内的因子として、高齢や、肥満、偏平足などの足部形態、アキレス腱や腓腹筋内側頭の拘縮による足関節背屈制限も一因となります。

 足底腱膜炎には、病変の部位により踵骨隆起内側の付着部近傍に発生するもの(付着部型)や、それよりやや遠位の実質部に限局するもの(非付着部型)、また両方の混合型に分類されます。付着部型では、一般の中高齢者によくみられ、非付着部型はスポーツ選手など活動の高いものに多いです。
 

 
●足底腱膜炎の治療

 治療は原則保存的治療が主体で、80~90%は軽快するとされています。一般的な保存治療として、ストレッチを含んだ運動療法、インソール、注射療法、物理療法などがあります。
 
 運動療法に関しては、足底腱膜や下腿三頭筋の拘縮は、痛みや発症の要因となる為、ストレッチによる柔軟性の獲得が必須になります。非付着部型では特にストレッチが重要になります。付着部型では、偏平足や後方重心の改善のため、筋力強化訓練も重要になります。足趾底屈筋郡や後脛骨筋の筋力強化のためタオルギャザーや踵上げ運動を行います、また、重心移動を円滑化するために殿筋や体幹の筋力訓練も併せて行っていきます。




●母趾種子骨障害とは?

 母趾種子骨は、第1中足骨頭の下にあり短母趾屈筋腱内に含まれます。母趾種子骨は短母趾屈筋の力を効率よく母趾に伝達することや、中足骨頭から長母指屈筋の摩耗を防ぎ、歩行時に地面から受ける衝撃を吸収する役割も果たしています。

 母趾種子骨障害は母趾種子骨に関連する病態を総評する用語で、骨折、有痛性の分裂種子骨、反復性外傷または感染による種子骨炎、骨軟骨病変、変形性関節症などが含まれます。骨折においては疲労骨折が多くを占めています。



●母趾種子骨障害の診断

 診断としては、歩行時やスポーツ活動時の母趾球の足底に痛みを感じる、母趾の強制背屈により痛みが増強する、該当する種子骨に圧痛がみられます。発症部位としては内側の種子骨に発症することが多いです。

 単純X線写真では、転位していない種子骨骨折では、分裂種子骨と区別するのが難しい場合があります。MRIは早期診断に感度が高く、CTでは詳細な骨折形が分かります。



●母趾種子骨障害の治療

 治療に関してはまず保存的治療を行います。安静、アイシング、抗炎症薬、装具療法などを組み合わせて行います。骨折の典型的なプロトコルでは、母趾を足底に軽度屈曲させて4~6週間固定し、さらに部分荷重歩行を経て徐々に通常の活動に戻していきます。難治性の場合、近年では体外衝撃は、自己多血症板血漿注入療法、濃縮骨髄液吸引注射療法なども報告されてきています。

 外科的治療に関しては、十分なエビデンスに基づいた治療法はいまだ確立はされていません。母趾種子骨障害に対する手術療法においては報告されている症例数が少ないため、エビデンスの希薄な状況になっています。最も一般的な術式としては、観血的母趾種子骨切除術があげられます。



●さいごに

 今回は「足底腱膜炎の診かた」「母指種子骨障害の治療」について学び、まとめていきました。
 足底腱膜炎、母趾種子骨障害、それぞれの病態や治療法について理解を深めることができました。
 特に、理学療法士としての立場としては、保存的治療のおいて実施できることが多くありました。当院においても、足部に症状をかかえている患者様が多くいらっしゃいます。そのため、今回の勉強会で学んだことを、今後の治療に生かしていきたいと思います。