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院内勉強会「腰椎分離症と腰痛」

みなさんこんにちは!理学療法士の宮崎です!
先日、当院ではスタッフを対象に「腰椎分離症」をテーマとした院内勉強会を開催しました。

今回は、勉強会で学んできた内容をもとに、腰椎分離症の病態や診断、リハビリのポイントについてご紹介します。

スポーツをしているお子さんが「腰が痛い」と訴えたことはありませんか?
その腰痛はもしかすると「腰椎分離症」が原因かもしれません。


腰椎分離症は成長期のスポーツ選手に多くみられる、繰り返しのスポーツ動作によって起こる疲労骨折です。「ただの腰痛かな?」と様子をみてしまうことも少なくありませんが、早期の適切な治療を開始することで多くの場合スポーツ復帰を目指すことができます。



特に野球、サッカー、バレーボール、体操、バスケットボールなど、腰を反らす・ひねる動作を繰り返す成長期のスポーツ選手に多く見られます。
主な症状として…
・腰を反ると痛い
・腰をひねると痛い
・スポーツ中やスポーツ後に腰痛が出る
・安静にすると痛みが軽くなる

といった特徴があります。

初期は骨折部の炎症が主体ですが、進行すると骨癒合が得られず偽関節となり、慢性的な腰痛へ移行することがあります。

痛みの病態
腰椎分離症による腰痛は、病気の進行段階によって痛みの原因が異なります。

初期

初期では、腰椎の関節突起間部に繰り返し負荷が加わることで疲労骨折が生じ、骨折部の炎症や骨髄浮腫が起こります。この炎症によって腰を反らす・ひねる動作で局所の腰痛が出現します。

一方で、この時期からお尻や太ももにかけての痛み(下肢痛)を訴える患者さんもいます。
これは、疲労骨折による出血や炎症がすぐ近くを走る神経を刺激するためだと考えられています。

終末期】(偽関節の時期)

骨折が癒合しないままスポーツを続けると、偽関節と呼ばれる骨がつながらない状態になります。偽関節では、骨折部がわずかに動く微小な不安定性が生じるため、運動のたびに機械的な刺激が加わり、慢性的な腰痛の原因になります。
さらに、骨折部には線維性軟骨組織や骨棘が形成され、神経障害を惹起させます。

可動性と筋タイトネスの評価
腰椎だけでなく、股関節や胸椎の柔軟性低下も腰椎分離症の発症に関係すると考えられています。
そのため、以下のような評価を行います。

股関節の柔軟性
・SLR(下肢伸展挙上テスト)
・HBD(Heel Buttock Distance)
・Thomas test

胸椎、腰椎の可動性
・前屈、後屈
・側屈
・回旋の可動域

筋タイトネス
・ハムストリングス
・大腿四頭筋
・股関節屈筋
・殿筋群
・下腿三頭筋

腰だけでなく、股関節や胸椎を含めた全身の柔軟性を評価することが大切です。

体幹安定性の評価
前述した「可動性」だけでなく「安定性」も重要です。
評価として
・SCSテスト(Sahrmann Core Stability)
・One Finger Test
・ドローイン

などを行います。

特にSCSテストでは、腹部深層筋の機能を確認し、体幹の安定性を評価します。


画像所見
1)単純X線検査
―画像診断の基本です。歴史的には斜位像におけるスコッチテリア犬の首輪サインが有名ですが、感度・特異度ともに十分でなく、被爆量を考慮して斜位像の追加撮影は推奨しないとする文献も近年散見されています。

2)CT検査
―正確な病期分類や、骨癒合判定、偽関節の有無を確認するために重要な検査です。しかし低年齢層の患者では、放射線被爆量の観点から身体所見、単純X線およびMRI検査を組み合わせることで罹患椎体のみの撮影を限定する場合もあります。

3)MRI検査
―初期の腰椎分離症ではMRIで骨髄浮腫を認めることが多く、早期診断に非常に有用です。

治療のポイント
腰椎分離症では、年齢や骨の成熟度によって治療の考え方が異なります。

小学生

終末期を除いて原則として骨癒合を目指します。この年代では、ほとんどの症例で骨年齢でcartijaginous stage(軟骨質) であり、終末期に至った場合に分離すべり症に移行する確率が高いです。腕や足などの長管骨の骨は、小学生では比較的治りやすいとされていますが、腰椎分離症は一般的な骨折とは異なり、早期に発見・治療しなければ骨癒合が得られにくくなることがあります。

中学生

目標とする大会やトレーニング期を考慮して骨癒合を目指すか否かを決めますが、基本的には骨癒合を目指す治療を優先します。中学三年生の進行分離期では、直近の大会をスポーツ用軟性装具で乗り切り、大会終了後に骨癒合のための治療に移行する場合もあります。

高校生
高校二年生以降では、初期分離期以外は骨癒合を目指さず、終末分離期に準じた対応、すなわち薬物治療や分離部ブロックによる疼痛管理を行い、早期の競技復帰を目指す場合が多いです。

治療開始後の流れ
腰椎分離症の治療では、痛みだけでなく、画像所見や身体機能の改善を確認しながら段階的にリハビリを進めていきます。

①治療開始から2週間
骨癒合を目指す場合には、原則的に硬性コルセットを使用します。(図1)治療方針決定後に速やかに装具を採型します。この時期は腰を後ろに反らす方向に負荷がかからないように下半身のストレッチと体幹を支える腹筋の運動(ドローイン)のみ行います。それ以外の運動は一切禁止します。


図1 硬性コルセット

②治療開始3~4週間以降
自発痛が消失したら、すべてのストレッチ、静的な深部体幹筋トレーニングを許可します。リハビリテーションにスポーツ動作を意識したトレーニングを取り入れていきます。

この時期も下半身の柔軟性、体幹の筋力を確認していきます。

③治療開始4~6週以降
MRIで骨癒合が順調に進んでいることを確認しながら競技に必要な動きを再開していきます。
自重スクワットなど、コルセット着用下で腰椎・骨盤帯の動きを伴うエクササイズを開始します。また、エクササイズの開始に先立って、発症時の練習に内容や受傷の原因になった動作の把握、分析も行い、安全な競技復活を目指します。



再発予防のポイント
競技復帰後にも、腰椎分離症は再発する可能性があります。そのためには…
・股関節や胸郭の柔軟性を維持する
・体幹トレーニングを継続する
・疲労をため込まない
・痛みを我慢してプレーをしない

といったセルフケアが重要です。
また、患者さん自身が「どのような動きで腰に負担がかかるか」を理解し、自分の身体と向き合うことも再発予防につながります。

おわりに
腰椎分離症は、成長期のスポーツ選手に多くみられる疾患ですが、早期に発見し、適切な治療とリハビリを行うことで、多くの場合は競技復帰を目指すことができます。
一方で、「少し痛いけど我慢できる」「大会が近いから」と無理を続けてしまうと骨が癒合しにくくなったり、慢性的な腰痛へ移行したりする可能性があります。

また、腰椎分離症の治療では、痛みをとることだけが目的でありません。股関節や胸椎の柔軟性、体幹機能、身体の使い方を見直し、再発しにくい身体づくりを行うことも大切です。

そしてなにより大切なのは、患者さん自身が自分の身体の変化に気づき、無理をしない判断ができるようになることです。痛みを我慢して競技を続けるのではなく、「今日は少し痛みがある」「疲労がたまっている」といった身体からのサインに耳を傾けることが再発予防や長くスポーツを続けるための第一歩になります。

当院では、一人ひとりの症状や競技レベル、年齢に合わせたリハビリを行い、安全な競技復帰と再発予防をサポートします。

それでは次回の投稿もお楽しみに~!

 

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