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院内勉強会 「整形外科医として知っておくべき骨折 一次予防と二次予防」「ビタミンDの重要性」

●はじめに

こんにちは、理学療法士の佐野です。7月22日に行われた院内勉強会に参加しました。
今回のテーマは「整形外科医として知っておくべき骨折 一次予防と二次予防」「ビタミンDの重要性」についてです。

●一次予防、二次予防とは?

 高齢化が進む日本において骨粗鬆症は誰にでも起こりえる疾患であり、骨粗鬆症によって引き起こされる脆弱性骨折(立った状態から転んで骨折すること)での大腿骨近位部骨折や椎体骨折は患者の日常生活動作や生活の質を低下させ、死亡率を高めるとされています。また骨折や転倒により要介護となり、介護負担の増加も懸念されています。
 
 骨粗鬆症は薬物治療によって改善される疾患ですが、疾患に対する認識の甘さや自分は大丈夫だろうという思い込みから治療の継続率や服薬の遵守率は決して高いとはいえません。知名度は決して低くありませんが、通院して治療をしている人口の割合が高血圧や糖尿病といった生活習慣病に比べて圧倒的に少なくなっています。(図1)


図1 2019年の人口1000人当たりの通院者数

 こうした骨粗鬆症による脆弱性骨折を予防するための方法を一次予防と二次予防に分けて考えていく必要があるとされています。一次予防、二次予防のそれぞれの説明は以下の通りになります。

一次予防‥骨折を起こしたことはないが、骨折リスクが高まるか今後高まることが予想される人たちに向けた骨折予防の事。

 50歳を過ぎたころから骨量の減少
が始まり、骨量の維持と骨量減少の早期発見・早期治療がポイントとなるが、骨粗鬆症は沈黙の疾患といわれまだ症状が出ていない状態である為、検診や検査に出向かない人が多いのが問題点とされています。
 骨粗鬆症の手前である骨減少症の人でも70歳以上の女性や糖尿病、肺疾患のある人は骨粗鬆症の治療が必要とされています。

自分は大丈夫と思わず、定期的な検診や検査を受けるようにしましょう!

二次予防‥脆弱性骨折を起こしたかその過去がある人、今後再び骨折を起こすことが考えられる人への予防の事。

 脆弱性骨折はそれ自体が次への骨折へのリスクとなり、骨折の連鎖する可能性があるとされています。また骨折部位に関わらず次なる骨折は大腿骨近位部が多い(大腿骨近位部骨折の5年生存率は50%以下)とされています。(図2)
 
 こうした二次骨折は骨粗鬆症の薬物治療によって有意に抑制されますが薬物治療率は決して高くなく、疾患の認識や治療の必要性を知ってもらい継続した治療を行うことが課題とされている(図3)
 
 また二次骨折の発生リスクは最初の骨折から1年がピークで約5倍とされており時間経過とともに減少するといわれています。


図2 一次骨折発生部位と二次骨折の発生割合


図3 薬物療法の有無における二次骨折の発生率


●骨粗鬆症の予防策

 骨粗鬆症による脆弱性骨折が死亡リスクを高める為、骨粗鬆症にならないよう日常生活でも気を付けておくべきポイントがいくつかあります。骨粗鬆症の予防策として推奨されているのは以下のものになります。

 ・栄養バランスの整った食事
 ・適切な睡眠時間の確保(6時間以上)
 ・運動習慣の確立(有酸素運動、無酸素運動)
 ・日光を浴びる(ビタミンDの生成)
 ・骨粗鬆症の理解を深め、リスクになるものを知る。(疾患について知る)

●ビタミンDの重要性について


 ビタミンDは五大栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル)の一つとして注目されており、ヒトを含む動物は紫外線を浴びることによってビタミンD₃を生合成することができ、植物に含まれるビタミンD₂を摂取することも可能になるとされています
 ビタミンDの働きによって小腸からカルシウム(Ca)とリン(P)を吸収することで骨の強化ができるだけでなく筋肉にも作用するため将来的な筋力低下による転倒リスクの低下にも効果的であるとされています。そのためビタミンDが不足すると骨強度が低下しやすくなるだけでなく、筋力の低下から転倒リスクを向上させ日常生活への支障が起こりやすい状態を招いてしまいます。
 ビタミンDの約8割は体内で生成されるホルモンで、残りの2割は栄養素として摂取されるビタミンという2つの特徴を有しています。ビタミンDが多い食品として魚やキノコ類があり、これらを日常的に食事で取るようにすると効果的とされています。

●さいごに

 今回は「整形外科医として知っておくべき骨折 一次予防と二次予防」「ビタミンDの重要性」について学び、まとめていきました。
 骨粗鬆症による脆弱性骨折の怖さ、骨折における一次予防と二次予防の違い、ビタミンDの働きについて理解を深めることができました。
骨粗鬆症は誰にでも起こりえる疾患で知名度が高いのにもかかわらず、しっかりと治療に臨んでいる人は少ないとの事で骨折リスクがあがってしまい日常生活を脅かす存在であると考えます。
 不安やもしかしてと思ったら医療機関に足を運び検診や検査を受け、治療していくことが自分の生活を守るためにも必要な事と今回の勉強会を通して感じました。
 ビタミンDに関しても自身の生活の中で気を付けていれば不足する事態を避けることができるので、栄養バランスや生活習慣の見直しをしていくと良いと思います。

当院では、このような勉強会を定期的に実施しております。今後も患者様のために研鑽していきます。今後の投稿も楽しみにしていてください。