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院内勉強会「変形性股・膝関節症が脊柱骨盤アライメントに及ぼす影響」報告

●はじめに
 こんにちは、理学療法士(PT)の近藤です。
10/18(金)に院内勉強会
「変形性股・膝関節症が脊柱骨盤アライメントに及ぼす影響」
を開催しました。その時の様子と勉強会の内容を
報告していきたいと思います。

●勉強会の様子
今回も院長からのわかりやすい話を
お聞きすることができました。その時の写真です。
理学療法にも非常に深く関わる分野でもあるため
皆さん、真剣に聞いています。

それでは、勉強会の内容にいきたいと思います。

●変形性膝関節症と脊柱アライメントの関係
変形性膝関節症(以下:膝OA)は、皆さんも一度はお聞きになった
ことがあるのではないでしょうか?とはいえ、膝OAは単純に
膝関節だけの問題ではありません。近年では膝関節と脊椎が相互に
影響を与え合うことが言われ、 knee-spine syndrome(膝ー脊椎 症候群)
としても注目されています。
では実際にどのように影響を与えるのでしょうか?
人間は、二足歩行や立位を保持する必要があります。
バランス保持という観点から腰椎前弯(腰の反り)
減少等の
脊柱変形が先に生じると、重心が前方に移動するためその代償
として骨盤が後傾し、股関節が伸展します(代償性バランス)。
しかし代償できないと膝が屈曲し、膝関節や膝周囲筋への
負荷が増大し、膝OAが発症してしまいます。

反対に膝OAが先行して膝屈曲を呈した場合は、
頭部が前方に移動し、脊椎のglobal alignment(脊柱の向き)
の不良や傍脊柱筋筋力低下に伴う腰椎前弯の減少が生じます。
さらに変形性膝関節症の分類(KL分類)が2以上では、胸椎
後弯角度の減少が有意に生じるとも言われています。
重症度で推察していくと
①加齢による軽度の変形程度では、脊椎の弯曲よりも骨盤の
 後傾による代償が働くが、疼痛や膝の屈曲拘縮があると
 頭部が前方に移動しやすい。
②手術をする程ではない膝OA患者では、胸椎後弯の減少による
 立位保持を行いやすい。
③末期の膝OAでは、疼痛や屈曲拘縮も強いため体幹の伸展が
 困難であるため、結果として胸椎後弯の増強、頭部の前方移動
 が生じやすい。

変形性膝関節症と脊椎アライメントにはこのような影響があります。
では股関節と脊椎にはどのような関係があるのでしょうか?

●変形性股関節症と脊柱アライメントの関係
脊椎アライメントが変化した場合、仮に重心線が
股関節の前方を通ると合力が正常体重の0.6倍なのが
3.1倍に増大して股関節への負担を増大させます。
また加齢により骨盤後傾が生じると寛骨臼前方被覆
(股関節の覆い)が減少し、単位面積あたりの
負荷が増大します。いずれの場合も変形性股関節症を
発生させる機序と言われています。

とはいえ股関節に何かの疾患の既往がある場合では
疼痛等を回避しようとして反対に骨盤は前傾します。
腰椎は前弯増強が多く見られます。
これは被覆という観点としては有効に働きます。
しかし、腰椎前弯の増強による椎間関節亜脱臼、
椎間孔狭小による腰痛や神経根症状(痺れなど)
を生じることもあります。
そのためその代償が合理的に働いているか否かを
注意深く見極め、治療展開していく必要があります。

●今後の展望
どちらが先に生じたのかというのはなかなか
臨床でも見抜くのが難しいものではあります。
しかし、いずれにせよ疼痛を生じている部位
だけではなく全身的に見ていく必要がある
ということがよく理解していただけたと
思います。近年、このような隣接関節との
関係や影響が注目されるようになりより
広い視野での治療がなされていくことは
興味深いと思います。

●さいごに
当院は、このような勉強会を定期的に
開催しています。今後も患者様のために

より一層研鑽していきます。
次回の投稿をお楽しみに!