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院内勉強会「骨質と骨粗鬆症」

PTの山形です。
今回の院内勉強会では「骨質と骨粗鬆症」について
学んだため報告します。

院内勉強会の様子はこちらです

〇はじめに

骨の強度は骨密度(量)が70%、骨質(構造、材質)が30%を占めています。
骨粗鬆症の話題では骨密度に着目されることが多いですが
今回は骨質に関してもふれていきたいと思います。

〇骨について

骨は主にコラーゲンカルシウムでできています。
骨の構造はよく鉄筋コンクリートに例えられます。
色分けしたとおり、鉄筋コラーゲンコンクリートカルシウムです。

脆い鉄筋で造られた建物は、どれだけしっかりとコンクリート
つけても壊れやすくなってしまいます。逆もまた然り。

つまりコラーゲンカルシウムどちらに異常が起きても
骨は折れやすくなってしまうということです。

〇骨質について

骨質とは、はじめに記載した通り骨の構造や材質のことです。

骨質因子としてコラーゲン架橋があります。
コラーゲン架橋はいわば鉄筋と鉄筋の間にある梁です。
梁が鉄筋同士をしっかりと繋げることで建物の耐久性が高まります。

コラーゲン架橋には①善玉架橋と②悪玉架橋があります

①善玉架橋は酵素依存性架橋といい、
しなやかで粘り強く骨の石灰化を誘導し強度を高めます。

②悪玉架橋は非生理的架橋(老化AGEs架橋)といい、
脆くチョーク様で骨を作る骨芽細胞の機能を低下させます。
またコラーゲンを無秩序に架橋するためコラーゲン線維から
しなやかさを失わせ脆弱にします。
悪玉架橋は加齢に伴い増加傾向がみられます。

実際に大腿骨頚部骨折例における骨コラーゲンの架橋異常をみた研究では
骨折群は対象群と比較して悪玉架橋が多くみられた、と書かれています。

〇骨リモデリングについて

骨は日々作りかえられています、これを骨リモデリングといいます。
骨リモデリングは全身で同時に起こるのではなく部分的に起きます。
骨リモデリングは骨吸収(骨を壊す)のに数週間、骨形成(骨を作る)のに
約3ヶ月掛かるといわれています。

この骨吸収と骨形成のバランスをとっているのが性ホルモンです。
性ホルモンは骨吸収の抑制(骨を壊し過ぎないようにする)と
骨形成の促進(丈夫な骨をつくる)を行っています。

〇骨強度低下のメカニズム

性ホルモン欠乏や加齢に伴い性ホルモンが減少すると骨吸収が亢進、
骨形成が抑制された骨リモデリングが起こります。
すると骨の石灰化度の低下や骨微細構造の破綻が生じます。

上記を簡単に言うと、丈夫な骨ができる前に他の部分で骨が壊されてしまい
骨の脆い部分が増えてしまうということです。
これらが起こると骨密度低下といえます

これに対して性ホルモンの減少や加齢、生活習慣病(糖尿病、腎不全、
慢性閉塞性肺疾患など)の罹患により高まる酸化ストレスや糖化の亢進、
ビタミンⅮ不足はコラーゲンの架橋異常を惹起し骨強度低下を招きます。

上記を簡単に言うと、高齢者だけではなく若い人でも生活習慣病があると
鉄筋が脆くなって骨が折れやすくなるということです。
これらが起こると骨質低下といえます

〇骨折リスクについて

骨密度、骨質の低下が骨折リスクに与える影響

骨質低下のみ・・・・・・・・・・1.5倍
骨密度低下のみ・・・・・・・・・3.6倍
骨質・骨密度ともに低下は・・・・7.2倍

〇骨粗鬆症治療薬が骨質に及ぼす影響について

骨質を改善するためには

  • 適正な骨リモデリングを維持すること
  • 酵素依存性架橋(善玉架橋)を最大限に誘導すること

酵素リジルオキシダーゼを活性化する薬剤
・活性型ビタミンⅮ₃
・エストロゲン受容体モジュレータ(SERMs)
・テリパラチド
・ビタミンK₂(間接的作用)
・ビタミンB₆(ピリドキサール)

  • AGEs架橋(悪玉架橋)の形成を抑制すること

酸化ストレスの低下(抗酸化作用)
・エストロゲン受容体モジュレータ(SERMs)
・ビタミンK₂
・ビタミンB₆(ピリドキサール)
コラーゲンの合成を促進
・活性型ビタミンⅮ₃
・テリパラチド