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クリニックブログ BLOG

院内勉強会 「骨腫瘍の診断」

放射線技師の武田です。

9/13に行われた院内勉強会に参加しました。
今回は”骨腫瘍の診断”
についてまとめたいと思います。





※クリニックで扱うのは少々マニアックな内容になるため、各疾患に対する臨床像、病態等は割愛し、画像所見を中心にまとめさせて頂きます。


☆良性骨腫瘍の診断

〇骨腫瘍の診断項目

・年齢⇒主に若年者、疾患によって好発年代は異なる。
・発生部位⇒長管骨に多くみられる。
・腫瘍の広がり
・単純X線やCT
・MRI
・骨シンチグラフィー   …など

※低悪性度の骨腫瘍との鑑別が難しい場合も多く、骨生検や画像経過観察、専門施設に紹介するなど慎重な対応が望ましい。





☆良性骨腫瘍の画像所見

代表的な特徴として…

〇辺縁明瞭な地図状の骨透亮像を認める。
骨膜反応、骨外病変がないこと。
(”悪性骨腫瘍の画像所見”にて後述)

〇辺縁硬化があること。




図1 単発性骨嚢腫 単純X線正面像 上腕骨
・骨腫瘍類似疾患である。
・骨幹端~骨幹部にかけて、辺縁明瞭な骨透亮像を呈する。
骨皮質は菲薄化し軽度膨隆している。
⇒本図では骨折を認める。




図2-a 非骨化性線維腫 単純X線側面像 脛骨
・骨腫瘍類似疾患である。
・長管骨である脛骨の近位骨幹端の後方皮質骨内に発生している。
地図状の骨透亮像、骨皮質の膨隆、菲薄化、辺縁硬化を認める。




図2-b 非骨化性線維腫 CT横断像 脛骨
・CT画像にて、内部に皮質骨発生を認める。
単純X線と同様に骨透亮像、骨皮質の膨隆、菲薄化を認める。




図3 線維性骨異形成 単純X線正面像 股関節~大腿骨
・骨腫瘍類似疾患である。
・左大腿骨転子下にスリガラス陰影を認める。
⇒本図では病的骨折を伴っている。




図4 動脈瘤様骨嚢腫 単純X線正面像 腓骨
・骨腫瘍類似疾患である。
・腓骨骨幹端で骨が膨隆している。
・内部は透亮像を認め、骨皮質は卵殻状に菲薄化している。




図5-a 骨軟骨腫 単純X線正面像 上腕骨
・長管骨では骨幹端に発生する。
・様々な形の骨性隆起を認める。
・骨皮質、海綿骨梁との連続性を認める。




図5-b 骨軟骨腫 MRI T2強調横断像 上腕
・隆起先端部に高信号を呈する軟骨帽を認める。




図6 内軟骨腫 単純X線正面像 示指基節骨
・約40%は手に発生する。
・骨幹~骨端にかけて骨皮質の菲薄化、膨隆を伴った辺縁明瞭な地図状の骨透亮像を認める。
・斑点状の石灰化像を認める。




図7 骨巨細胞腫 単純X線正面像 大腿骨遠位
・WHO分類では良性と悪性の中間に位置する。
・自覚症状として疼痛、腫脹が多くみられる。
・主に長管骨の骨幹端に発生する。
・骨端~骨幹端に地図状の骨透亮像を認める。



     
図8-a 類骨骨腫 単純X線側面像 脛骨
・長管骨である下肢骨の骨幹に発生することが多い。
・脛骨後方に皮質骨の著明な肥厚を認める。




図8-b 類骨骨腫 CT横断像 脛骨
・骨硬化像の中に円形の骨透亮像を認め、中心部に骨化を認める。




☆悪性骨腫瘍の診断

〇原発性悪性骨腫瘍 ex)骨肉腫、軟骨肉腫など
⇒骨そのものを発生母地とする悪性骨腫瘍。
⇒10~40代の患者に骨腫瘍を認めた場合は上記を疑う。

〇転移性骨腫瘍(続発性骨悪性腫瘍)
⇒癌から骨に転移したもの。
⇒50代以上の患者に骨腫瘍を認めた場合は既往歴を確認し、上記を疑う。




☆悪性骨腫瘍の画像所見 鑑別のポイント

〇骨皮質の消失
悪性骨腫瘍は正常な骨組織を急速に破壊、置換しながら浸潤的に進行する。海綿骨では地図状の骨透亮像として、骨皮質では破壊による骨皮質の消失を画像上に認める。

※良性骨腫瘍では骨皮質は膨隆、菲薄化することが多い。




図9 骨肉腫 単純X線正面像 大腿骨遠位
辺縁不明瞭な骨透亮像を認める。




図10 骨巨細胞腫 単純X線像 上腕骨近位
・非常に進行が早く、骨皮質の欠損を認める。


〇骨膜反応
悪性骨腫瘍による骨膜の刺激や、腫瘍の増殖に伴った骨膜の持ち上がりを骨膜反応と呼ぶ。
小児の疲労骨折、骨髄炎、好酸球性肉芽腫などでも認められる。




図11 骨肉腫 単純X線正面像 大腿骨遠位
皮質骨の欠損(赤矢印)を認める。
骨膜反応(青矢印)を認める。




図12 好酸球性肉芽腫 単純X線正面像 大腿骨骨幹部
骨膜反応を認める。




〇骨腫瘍周囲の辺縁硬化像

辺縁硬化像を認める(皮質骨の消失を伴わない)
⇒比較的緩徐に骨破壊が進行した場合は骨腫瘍周囲に反応性の骨硬化を形成する。
⇒良性骨腫瘍or低悪性度の骨腫瘍であることが多い。


辺縁硬化像を認めない
骨の急速な浸潤性破壊が起きている。
⇒高悪性度の骨腫瘍の可能性が高い。




図13 非骨化性線維腫 単純X線正面像 脛骨骨幹端
・良性骨腫瘍である。
辺縁硬化像を認める。


〇病的骨折
悪性骨腫瘍を生じた場合には、骨の脆弱性から病的骨折を生じることがある。
※良性骨腫瘍を生じた場合でも、骨皮質の菲薄化などによって骨折を生じることがある。




図14 骨肉腫 単純X線正面像 大腿骨
・大腿骨の病的骨折を認める。
・骨腫瘍(赤矢印)を認める。