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Web講演会 「骨粗鬆症マネージャーへの期待」

6/28に豊田市福祉センターにて開催されたWeb講演会”Osteoporosis Live Symposium”に山形・武田で参加しました。今回はその中の「高齢化社会における骨粗鬆症マネージャーへの期待」について報告したいと思います。

〇日本は超高齢社会(65歳以上の人口が全人口の21%以上)
⇒2017年時点での高齢化率は27.7%、2060年には39.9%になると予想されている。

〇地域包括ケアシステムの構築を2025年までに目指す
…団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される連携協力サービス。

〇高齢者の死因(65歳~)
 1、悪性新生物(ガン)
 2、心疾患(高血圧性を除く)
 3、肺炎⇒寝たきり、要介護状態が原因

〇要介護になりやすい病気、症状
1、脳血管疾患
2、認知症
3、高齢による衰弱(フレイル、サルコペニア)
※サルコペニア…加齢に伴う筋力、筋肉量の減少
※フレイル…サルコペニアなどにより筋力や活動が低下

4、骨折・転倒
 ※特に80歳以上

☆転倒の予防

〇筋肉量は加齢に伴い減少するが、特に下肢の筋肉量の減少は早期からみられる。
 ⇒とっさに足が出ない、足が上がらずにつまずく等で転倒につながる。

〇筋力低下の指標
・握力:男性26kg未満 女性18kg未満

・ふくらはぎ周囲:男性36cm未満 女性33cm未満
⇒両手の人差し指と親指で輪を作り、ふくらはぎに当てた時に指が触れてしまう、輪ができてしまう場合は注意が必要。

〇ロコモティブシンドロームの認知度

ロコモティブシンドロームとは?
…運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態のこと。これにより生活の自立度が低下し、寝たきり、要介護につながる。

ロコモティブシンドロームの認知度を上げる取り組みが行われており、2022年には認知度80%以上を目標としている。

認知度を上げることで一人一人が運動器の健康維持に対して関心を持ち、ロコモティブシンドロームを予防してもらう。
※2018年度の認知度は48.1%

☆骨折の予防

〇一次予防…骨折を未然に予防する。


図1 原発性骨粗鬆症の診断基準

・原発性骨粗鬆症:加齢・閉経に伴ってみられる。
・続発性骨粗鬆症:他の疾患に伴ってみられる。
(糖尿病、慢性腎臓病、関節リウマチ、副甲状腺機能亢進症、ステロイド薬、性ホルモン低下療法など)

・骨量測定は骨折によるQOLの低下が著しい大腿骨近位部、椎体部を測定できる躯幹骨用DXA装置で行うのが望ましい。

〇二次予防…骨折した人の次の骨折を予防する。

・全ての臨床的な骨折は、死亡の相対リスクを約2倍増加させる。
※橈骨遠位端骨折など、骨粗鬆症性骨の中にも死亡相対リスクの増加は見られないものもある。

・大腿骨近位部骨折患者の約20%は1年以内に死亡、約25%は長期にわたる介護が必要となり、約50%は移動能力が完全に回復することはない。また大腿骨近位部骨折患者の約半数は二次予防の対象者から出ている。

・ある調査では大腿骨近位部骨折者の80%の方に既存椎体骨折を有していた。
椎体骨折から大腿骨近位部骨折と”骨折連鎖”を起こしている。

・骨粗鬆症性骨折を起こした患者が再骨折する危険性はほぼ2倍に上昇するにもかかわらず、骨折後に適切な骨粗鬆症治療による予防が行われていない割合は約80%に上ると推定されている。

シームレスな医療ネットワークの構築が重要であり、多職種連携、治療推進役として骨粗鬆症マネージャーの働きが期待されている。

☆骨粗鬆症マネージャーとは

骨粗鬆症に関する知識を有するメディカルスタッフとして、基本的知識と技能を一般社団法人日本骨粗鬆症学会が認定する資格である。専門スタッフとして骨粗鬆症の予防、診断、治療を提供し、また広く社会啓発活動を行うことで、超高齢社会における健康格差の縮小と健康寿命の延伸に貢献する役割を担う。

☆まとめ

骨粗鬆症治療・ロコモティブシンドローム予防

転倒・骨折の予防

寝たきり・要介護を減らす

健康寿命を延ばす

この骨粗鬆症治療・ロコモティブシンドローム予防に骨粗鬆症マネージャーが介入することで治療水準を上げ、健康寿命の延伸に貢献する。