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院内勉強会「凍結肩に対するサイレント・マニピュレーション」

こんにちは、理学療法士の後藤です。2月1日に行われた院内勉強会に参加しました。
今回のテーマは「凍結肩に対するサイレント・マニピュレーション」についてです。



<凍結肩の新たな治療法「サイレント・マニピュレーション」とは?>

今回は、従来の治療法に加えて近年注目されている 「サイレント・マニピュレーション(Silent Manipulation, SM)」 について勉強会を行いましたのでまとめていきます。

<そもそも「凍結肩」とは?>

凍結肩(四十肩・五十肩)とは、特発性肩関節拘縮とも呼ばれ、明確な原因がないのに肩の動きが制限され、痛みが生じる疾患 です。

特に 40〜60代の方に多く、肩関節の炎症や線維化(関節が硬くなること)が原因で、徐々に肩の動きが悪くなります。

凍結肩の主な症状

肩を上げる、後ろに回す動作が難しい

夜間痛が強く、寝返りをうつと痛みで目が覚める

肩の動きが徐々に悪くなり、最終的に動かなくなる

多くの場合、数ヶ月から1年以上かけて徐々に回復しますが、痛みや可動域制限が長引く場合は治療が必要 です。

<「サイレント・マニピュレーション」とは?>

エコーガイド下の神経ブロック+徒手的関節授動術 で凍結肩を治療する方法です。

短期間で可動域改善が期待でき、手術をせずに済む可能性がある ため、保存療法で効果が出なかった方に選択肢として考えられます。

 

<関節鏡視下授動術(ACR)との違い>

 

項目 サイレント・マニピュレーション(SM) 関節鏡視下授動術(ACR)
治療方法 神経ブロック後、徒手的に関節を動かして拘縮を解除

関節鏡で直接関節包を切開し、癒着を解除

可動域改善 短期間で向上しやすいが、技術に左右される 術中に拘縮部を直接確認でき、確実な改善が見込める
夜間痛の改善 施術後すぐに消失しやすい 術後の痛みはあるが、最終的には軽減
入院の必要性 なし(外来で施術可) あり(手術のため)
リスク 技術に依存するため、効果に個人差が出やすい 感染リスク・術後の痛み あり

 

当院の院長は、関節鏡視下授動術(ACR)のほうが拘縮部位を目視しながら治療できるため、より確実な方法と考えています。

そのため、SMはあくまで選択肢の一つとし、適応を慎重に見極めることが重要だと考えています。

どんな人がSMの対象になるのか?

リハビリや薬物療法で改善しなかった方

夜間痛が強く、日常生活に大きな影響がある方

手術は避けたいが、早く治したい方

ただし、以下の方には適応が難しい場合があります。

65歳以上の女性(骨折リスクがある)

骨粗鬆症がある方

糖尿病・喫煙歴がある方(効果が出にくい)

<リハビリテーションの重要性>

当院では、理学療法士によるリハビリテーションを基本とし、痛みの軽減と可動域改善を目指した治療を行っています。

リハビリでは、

🔹 痛みが強い時期には過度な動きを避けながら筋緊張を緩和

🔹 炎症が落ち着いてきたら、徐々にストレッチや可動域訓練を実施

🔹 必要に応じて注射を組み合わせる

継続的なリハビリによって、肩の動きを回復させ、再発を防ぐことが可能です。

 

 

<さいごに>

肩関節疾患である凍結肩に対する新たな治療法・術後予後を詳しく知ることができました。
今後肩関節に対するリハビリがより良いものが行えるように今後も技術を研鑽していきたいと思います。

次回の投稿もお楽しみに!