こんにちは。理学療法士の小幡です。
院内での勉強会がありましたので、まとめていきます。
☆【頚髄症】
〇病態
・圧迫性脊髄症の発症には、①静的因子、②動的因子、
③脊柱管狭窄因子、④循環因子の4つの因子が関与
・主な慢性脊髄圧迫障害の原因疾患としては、「頚椎症性脊髄症」
「後縦靭帯骨化症」「黄色靭帯骨化症」「脊髄腫瘍」などがある
①静的因子
→脊柱管内に突出した骨棘や椎間板、後縦靭帯骨化巣の存在が
その因子となる
②動的因子
→頸椎の伸展により黄色靭帯がたくれ込み脊髄を圧迫
pincers mechanismという伸展による脊髄圧迫
後屈時に後方にすべった椎体後縁と椎弓間に挟まれる
(dynamic canal stenosis)
頸椎を屈曲すると、脊髄が骨棘の上で伸長され、虚血状態となる
③脊柱管狭窄因子
→単純X線頸椎側面像において脊柱管前後径が13㎜以下に
狭小化していることは、それだけで脊髄が圧迫されやすい
状態に置かれている
④循環因子
→慢性的な循環不全も脊髄症の発症に関与
〇神経学的所見
→手指の巧緻障害の有無と程度の確認
(10秒テスト、finger escape sign)
歩容のチェック(痙性歩行)
Ronderg徴候、Mann試験、Lihermitte徴候(後索障害)、
SpurlingテストやJacksonテスト(神経根症の合併)
WrightテストやMorleyテスト(胸郭出口症候群の合併)
などをチェック
☆【頸部神経根症】
〇病態
・脊柱管や椎間孔内で神経根が圧迫された結果、頸部・肩・
上肢痛など局部の関連痛とその神経根の支配領域に感覚
および運動麻痺をきたしたもの
・原因疾患は変形性頚椎症(Luschka関節や椎間関節の骨棘
や肥厚)、 椎間板ヘルニア、脊柱靭帯骨化症、腫瘍性病変
などが挙げられる
〇臨床症状
①頸部痛
②頭痛
③手指しびれ
④上肢疼痛
〇神経学的所見
①知覚障害(痛覚・触覚)
②運動障害(MMT)
③筋委縮・繊維束攣縮(fasciculation)
④誘発テスト
(Jacksonテスト・Spurlingテスト・Shoulder depression test)
⑤深部腱反射
〇鑑別診断
①脊椎疾患
→頚髄症、脊椎腫瘍、平山病、感染症性疾患など
②中枢神経疾患
→脳血管障害、脳腫瘍、多発性硬化症(MS)
③神経疾患
→運動ニューロン疾患など
④絞扼性抹消神経障害
→手根管症候群、肘部管症候群、肩甲骨上神経絞扼症候群、
胸郭出口症候群など
⑤肩関節疾患
→肩関節周囲炎、腱板損傷など
⑥上肢疾患
→ドゥ・ケルバン腱鞘炎、外側上顆炎など
参考文献:MB Orthop.30(10):1-13、2017.
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