0561-33-0111
web予約

院内勉強会「ロコモの関連疾患」

放射線技師の武田です。
/8の院内勉強会”ロコモの関連疾患”に参加しました。
今回はその中の”骨粗鬆症”と”変形性膝関節症”についてまとめたいと思います。


☆骨粗鬆症は致命的な疾患

超高齢社会における骨粗鬆症の重要性は明らかだが、適切な治療が行われていない骨粗鬆症患者はまだ多い。骨粗鬆症および骨粗鬆症骨折は日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)を損なうのみならず、寿命をも短くすることが明らかになっており、注意喚起が必要である。




☆骨粗鬆症骨折は短命化に直結する

〇全ての臨床的な骨折は、死亡の相対リスクを約2倍増加させる
※橈骨遠位端骨折など、骨粗鬆症性骨の中にも死亡相対リスクの増加は見られないものもある
・椎体骨折⇒死亡相対リスクが約9倍増加
・大腿骨近位部骨折⇒死亡相対リスクが約7倍増加


上記2種類の骨折は骨粗鬆症骨折の中でも特に重症な骨折である
⇒DXAでこの部位を検査することが重要




図1 椎体、大腿骨近位部骨折後の5年間における累積生存率

・椎体骨折後の5年生存率は約60%である(5年間に約40%が死亡する)
・大腿骨近位部骨折後の
5年生存率は約50%である(5年間に約50%が死亡する)

大腿骨近位部骨折は特に骨折から6カ月以内での死亡率が高い
(グラフの傾きが急)




図2 各骨折後の生存率(75歳以上)

・死亡率の高さは…
大腿骨近位部骨折>椎体骨折>主要な骨折≒その他の骨折>全集団
(生存率は上記の逆となる)

・骨折後の生存率は全て低下するが、特に大腿骨近位部骨折後の生存率低下は著しい

大腿骨近位部骨折者は、女性では5年足らずで半数が亡くなり、男性では7年半で全員が亡くなる

・骨折後は早期に手術を行い、速やかに離床させることが重要である



☆骨折の一番の予防法

骨粗鬆症の予防には、若年期に運動と栄養等の日常生活で最大骨量(Peak Bone Mass:PBM)を高めていわば骨貯金をしておき、骨量が目減りする将来に備えることが最も重要である。骨貯金が少なければ、早期から容易に骨粗鬆症に罹患しやすくなる。

〇骨発育のピークは2回ある
・1~4歳
・10.5~14.5歳

特に
10.5~14.5歳の4年間に成人の骨密度26%を獲得するといわれている

体格が急激に大きくなる時期であり、その時期に一致して骨も太く、長く大きくなり、骨密度も増加する

・成長期に無理なダイエット等は避けるべきである
⇒健康的な生活、運動が重要




図3 若年女性における骨密度の年齢分布
(12~30歳の若年女性1312名)

・大腿骨における最大骨密度は概ね18歳時であった

・腰椎における最大骨密度は29歳時であった
⇒18歳時に最大値の99.8%を獲得しているので、腰椎骨密度が最大になるのも概ね18歳と考えてよい


〇骨貯金にはHigh Impact Exerciseを実践することが有効である


※High Impact Exerciseとは…
ジャンプして着地するなど、骨に掛かる力学的負荷の大きな荷重運動のこと

垂直荷重方向の運動が骨代謝の司令塔である骨細胞を刺激して骨の新陳代謝を活発にするため有効である



〇最大骨量(Peak Bone Mass:PBM)の獲得にはカルシウム、タンパク質、ビタミンDが重要である
⇒大腿骨PBMの最大化にはn-3系脂肪酸摂取量が最も影響が大きく、これに加えて身体活動性も関与する

n-3系脂肪酸とは…
・EPA(エイコサペンタエン酸),DHA(ドコサヘキサエン酸)
⇒魚油に含まれる

・α-リノレン酸
⇒シソ、エゴマ、キャノーラ、大豆油などの植物油





☆変形性膝関節症

変形性膝関節症(Osteoarthritis of the knee、膝OA)は、関節軟骨の変性と摩耗を首座とし、軟骨下骨や半月板そして滑膜など関節内の構造物に変形を来す疾患であり、膝の可動域制限や歩行時痛のため、移動機能が障害される。



図4 単純X線を用いた重症度分類(K/L分類)



・膝OAは、立位で単純X線撮影を行いKellgren-Lawrence分類(K/L分類)を用いて診断する

明らかな骨棘を認めた場合をグレードⅡと判断し、これ以上を膝OAと判定する



☆膝OA重症度による痛みの違い

〇膝OAの疼痛に重要な因子は”膝関節内局所への過剰な力学的負荷”と”炎症(滑膜炎)”である


過剰な力学的負荷が膝にかかる(※)

関節軟骨が摩耗し、関節内に摩耗片が遊離する

摩耗片が滑膜に取り込まれ滑膜炎となる


炎症性サイトカインの発現が亢進し、疼痛発現

※関節にかかる力が日常的な強さであっても、軟骨や軟骨下骨の脆弱化が起きていれば結果として
”膝関節内局所への過剰な力学的負荷”が起こり得る


[膝OA初期 グレードⅠ・Ⅱ]
・炎症サイトカインが疼痛の影響因子となる
⇒抗炎症剤(ロキソニンなど)が有効

・滑膜炎+ 炎症性サイトカイン多



[膝OA末期 グレードⅢ・Ⅳ]
・下肢アライメントが疼痛の影響因子となる

・滑膜炎++ 炎症性サイトカイン少
⇒滑膜炎自体はあるが疼痛への影響は少ない

・強い痛みが長く持続することで疼痛閾値が低下する
疼痛閾値を上昇させる治療が有効(脳・神経に働きかける)

疼痛閾値の低下が膝周囲のみならず全身的に認める場合がある


 

院内勉強会「成長期・成人野球肘」

院内勉強会を行ったので報告します。
今回は、「成長期・成人野球肘の診断と治療
について」です。
 
<成長期の野球肘について>
○肘関節の骨端核の成長
肘関節には 内側:内側上顆と滑車
外側:小頭、外側上顆と橈骨頭
後方:肘頭
の6つの骨端核が存在する。
閉鎖時期は14~17歳頃に集中している。
骨端線の閉鎖が非投球側よりも投球側の方が早く、
成長期の障害は、15歳以下の小学生、中学生にみられる。
 
○障害の実態
小学1~2年生から野球を始める選手も多いが、
4年生に相当する10歳頃から障害が増え始める。
内側上顆障害が最も多く、離断性骨軟骨炎と呼ばれる小頭障害が続く
 
●内側上顆障害
診断
主訴:疼痛が多い。
「ある一球での急激な激痛」
「投球数とともに増してくる痛み」
「投球開始は痛むが、徐々に軽減する痛み」
「全力投球や遠投のみで生じる痛み」  など様々であることが多い。
身体所見:可動域制限‐伸展のみの場合が多く、左右差で比較する。
圧痛‐内側上顆の前下端に多いが、周辺組織の検査も重要。
外反ストレス痛‐投球動作で加わるストレスを模倣し検査。
画像診断:単純X線で45度屈曲位正面像が有用。
 
治療
負担軽減による保存療法が優先的に選択される。
自覚症状が消失するまで投球禁止。
練習では、バッティング、捕球、走塁は許可する。
また、投球中止時には、フォームチェックや
コンディション調整等の再発予防を行う。
 
2~3週で痛みが消失することが多い。
「可動域制限→圧痛→外反ストレス痛」の順に消失することが多い。
 
●小頭障害
診断
症状に乏しいことが特徴である。
身体所見:腕橈関節の圧痛、外反ストレス時の外側痛
※病気が進行するまで所見を有さない症例も多い。
画像診断:内側上顆障害と同様。
     透亮像が特徴的な初期
     離断増の進行期
     遊離体を有する終末期  に分類される。
治療
初期、進行期では保存療法。
自然修復能力を阻害する外力の除去が重要。
バッティングや腕立て、鞄の所持まで禁止し、
箸・鉛筆などなるもの以外は持たないように説明。
初期の90%、進行期の53%程度が修復することが多い。
終末期に近い進行期では、最低でも1年かかることも多い。
 
終末期では手術が選択されることが多い。
明確な指標は無いが、骨端線の閉鎖、母床部の硬化像と
修復が3か月以上停止していることがあげられる。
術後の対応も重要で、2~3か月は復帰を控えるべきであり、
日常生活は問題なく可能となる。
 
<成人の野球肘について>
投球動作による外反ストレスは最大64Nmになる。
このストレスに対し、内側側副靭帯が54%、骨性支持機構が33%
貢献すると言われており、非常に大きな力が肘に加わる事になる。
 
身体所見:圧痛‐靭帯付着部の上腕骨側と尺骨側、
靭帯実質へ正確にアプローチが必要。
     疼痛誘発テスト‐外反・過伸展ストレスにより検査
    外反動揺性‐X線や超音波検査による内側関節裂隙の開大を検査。
画像診断:骨変化や骨片、骨形態変化を評価する。
 
治療
基本的には、他の野球肘と同様に保存療法であるが、一定期間の
理学療法の介入による全身的な運動機能評価に基づいたリハビリ
にてパフォーマンスの向上、再発予防を行うことも不可欠である。
 

院内勉強会「投球障害肩」

今回の院内勉強会では投球障害肩について
学んだため病態と機能診断について報告します。

○病態

投球は肩関節に対して日常生活を逸脱した
過大な負荷がかかる動作である。

その病態は多岐にわたり、損傷を起こす身体の機能不全は
肩関節にとどまらず全身の要素が影響する

また投球フォームの要素も関わるため病態はより複雑となる。

投球動作において肩関節内の負荷を抑えるためには
上腕骨頭が肩甲骨関節窩に対して求心性を保つ必要がある

また振りかぶり(late  cocking phase)で上腕骨と肩甲棘が
い一列になるsafe zone(ゼロポジション近位の肢位)に
収めることが重要である
(図1)



図1  ゼロポジション



○肩関節の機能診断

・ゼロポジションで肩関節の外旋筋力は低下していないか。

ゼロポジションで外旋筋力が低下していると肘関節の運動軸を
運動方向に向けられないため肘伸展ができず肩関節の内旋が
主な投球フォームになってしまう


下図(図2)の上は肩の水平外転を使って代償している。
下は体幹の後傾を使って代償している。
上、下ともに投球フォームとして「開き」となっている。


図2 外旋筋力テスト


・ゼロポジションで肘関節の伸展筋力は低下していないか。

ゼロポジションでの肘伸展筋力が低下しているとボールリリース
で肘伸展位を保持できず、加速期(acceleration phase)で肘伸展
を主動作とした運動ができないため、肩関節の内旋を主動作とした
投球フォームとなってしまう


下図(図3)の上は肘伸展筋力を発揮できている。
真ん中は肩関節内旋で代償している。
下は肘の位置を下げて代償しており、東急フォームとしては
肘下がりになっている。


図3 肘伸展筋力テスト


・肩甲骨の固定性は低下していないか。

肩甲骨の固定性が低下している状態では上肢の土台として
機能しないため、下肢・体幹で生み出されるエネルギーを
効率的に指先へ伝達できなくなってしまう


下図(図4)は肩甲骨の固定性を評価しており、徒手的な肩甲骨の
固定の有無で筋出力や疼痛の変化を確認している。
肩甲骨を固定したほうが筋出力が向上、疼痛の軽減を
認める場合は肩甲骨の機能障害を疑う



図4 肩甲骨固定性の評価
go top