こんにちは 理学療法士の小幡です
今回は「脆弱性骨折」について学んだので、まとめていきます
〇脆弱性骨折の疫学
脆弱性骨折は活動の制限、寝たきり、さらには生命予後にも
影響を与えることから、高齢社会の日本において大きな社会問題と
なっている。
・大腿骨近位部骨折
→2012年の全国調査によると、
女性 70~79歳:約370人 男性 70~79歳:約170人
80~89歳:約1500人 80~89歳:約600人
90歳以上:3200人 90歳以上:約1600人
※50歳日本人のライフタイムリスク(平均的な日本人が
生涯のうちに大腿骨近位部骨折を生じるリスク)は男性5.6%、
女性20%であり、閉経後の女性では、5人に1人の割合で、
大腿骨近位部骨折を生じることになる。
・椎体骨折
→全国人口10万人当たり
女性 70歳代:約3000人 男性 女性の1/3~1/2程度の
80歳代:約8000人 発生率
・その他の脆弱性骨折
→橈骨遠位端骨折
女性 閉経後である60歳代前半から発生率が上昇
人口10万人当たり約600人
60~69歳代で最も発生率が高く、以後発生率は低下
男性 加齢に伴う発生率の変化は認められない
身体活動性が比較的高い症例に発生しやすい傾向がある
→上腕骨近位部骨折
女性 60歳代から加齢とともに発生率は徐々に増加
70歳代から直線的に上昇
85歳以上では人口10万人当たり、約280にまで達する
男性 60歳以上で加齢とともに発生率は上昇
女性の半分以下の発生率である
〇椎体骨折が偽関節化
⇒疼痛の増悪、遅発性麻痺を生じることがある
治療は患者、医療者、医療財政に大きな負担
〇椎体骨折の画像診断
〇日常生活自立度判定基準
骨粗鬆症性椎体骨折の場合
→ADLが1段階低下した症例:19.1%
疼痛高度残存例(VAS70以上):10.0%
完全に寝たきりとなった症例:5.7%
認知機能の低下(MMSE2以上低下):18.3%
死亡例:2.6%
〇薬物療法のEBM
急性期の鎮痛目的に使用する薬剤
・第一選択薬
:アセトアミノフェン
:NSAIDs
・第一選択薬が無効な場合に選択
:カルシトニン製剤
:トラマドール
;オピオイド製剤
骨量増加、骨折予防効果のある薬剤
:ビスホスホネート製剤
椎体骨折後疼痛に有効な薬剤
:PTH製剤
〇安静臥床、装具療法のEBM
安静臥床が一番の疼痛コントロールになる
しかし、
高齢者では1日の臥床で筋力が3%も低下
3週間も臥床すると筋力は半減する
装具療法はエビデンスレベルは低いが、
非装着群に比べて急性期から亜急性期の除痛効果
ならびにADL障害の低減に有効との報告がある
〇運動療法のEBM
運動は腰椎骨密度に対して有効な効果あり
転倒率を軽減し、骨折予防効果もあり
つまり、
将来的な転倒や骨折の予防につなげるため、
早期からの介入と継続させることが重要である
参考文献
MB Orthop.29(12):5-8,23-30,31-36 2016