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クリニックブログ BLOG

院内勉強会 「脊柱変形と疼痛対策」

放射線技師の武田です。
6/15の院内勉強会に参加しました。
今回は”脊柱変形と疼痛対策”についてまとめたいと思います。
(参考資料:第18回 日本骨粗鬆症学会 シンポジウム4”脊柱変形と疼痛対策”)



☆脊柱後弯変形によるQOL低下
 

図1 脊柱後湾変形がQOLに及ぼす影響

図1 脊柱後弯変形が”QOL”に及ぼす影響

脊椎圧迫骨折は骨粗鬆症を基盤とする骨折のなかでも最も多くみられる骨折である
 ⇓
椎体前方が上下方向に圧潰し、治癒後も圧潰椎体の高さが回復しない
 ⇓
脊柱後弯変形からADL障害およびQOL低下をきたす

※ADL(Activities of Daily Living):日常生活の動作

〇後弯角度の増大とともにQOLは低下する傾向にある

〇疫学調査結果(新潟県佐渡市:1年間)では…
 ・脊椎圧迫骨折の発生率は大腿骨近位部骨折のおよそ2倍
 ・脊椎圧迫骨折の発生時の年齢(77歳)は大腿骨近位部骨折の発生時年齢(81歳)より若年であった
 ・大腿骨近位部骨折者の80%の方に既存脊椎骨折を有していた
椎体骨折⇒大腿骨近位部骨折と”骨折連鎖”を起こしている
大腿骨近位部骨折の予防のためには脊椎圧迫骨折時点から治療が重要

〇大腿骨骨折患者および脊椎骨折患者はビタミンD非充足(不足)状態である
 ⇒血中ビタミンD量:大腿骨骨折患者<脊椎骨折患者
 ⇒ビタミンD投与で転倒防止、筋力上昇、Ca吸収促進


[骨粗鬆症性骨折の疼痛およびQOL低下の対策]

①骨粗鬆症患者への積極的な治療介入
 ⇒脊柱変形の原因である脊椎圧迫骨折の予防

②脊椎骨折患者への積極的介入
 ⇒骨折連鎖の予防

③高度脊柱変形症例への対応
 ⇒家事動作、姿勢・体形、転倒・心理的要因への対応
 ⇒疼痛対策として筋力訓練・薬剤治療




☆脊柱後弯による腰痛と保存療法

図2脊柱後弯 腰痛

図2 脊柱後弯に伴う腰臀部痛のメカニズム

〇高齢脊柱後弯患者における腰痛関連症状(アンケートより)
 「立っていると焼けるように腰が痛い」⇒立位困難
 「歩行によって腰が張ってくる」
 「屈んだ姿勢では痛みはない」 ~など
 ⇓
通常の腰痛とは異なる訴えが特徴的

〇脊柱後弯症の原因
 ・前方要素…圧迫骨折遺残変形、椎間板変性
 ・後方要素…背筋機能障害

〇脊柱後弯患者では骨盤の傾きをコントロールすることで体幹前傾化と、それに伴う腰臀部痛・歩行障害は予防できる
 ⇒コルセットを用いる



☆骨粗鬆症の腰背部痛に対する運動療法

図3 疼痛 悪循環

3 疼痛の悪循環

〇骨量の経年変化(男女比較)
 ・骨量は成長期~成人期にかけて増加し、成人期に最大値に達し、その後プラトーとなる(骨量:男性>女性)
 ・男性は50歳以降緩やかに減少し始める
 ・女性は閉経(50歳前後)後に急激に減少する
 ⇓
男性よりも女性のほうが骨粗鬆症になりやすい

〇骨密度・背筋力が低下すると椎体への力学的負荷が増加し、椎体骨折のリスクが増加する

〇背筋力に影響を及ぼす因子
 ・年齢
 ・椎体骨折数
 ・腰椎前弯角 ~など

〇疼痛およびADLに影響を及ぼす因子
 ・椎体骨折数
 ・腰椎後弯角
 ・腰椎可動域
 ・背筋力 ~など

↪脊柱変形と疼痛対策として背筋を鍛え、脊柱のアライメントと可動域を改善し、椎体骨折を抑制することが重要


[運動療法について]

〇1日10回、週5日行う背筋強化訓練(2年間)が10年後の椎体骨折を抑制することが報告されている

〇背筋強化訓練は有用であるが、体幹の屈曲動作を繰り返す腹筋強化訓練は椎体骨折のリスクを伴うため注意