理学療法士の山形です。
今回の院内勉強会では仙腸関節障害について学んだため報告します。
○仙腸関節とは?
腸骨と両側の仙骨を結合する関節である(図1)。
図1 仙腸関節
○仙腸関節の解剖学的特徴
軟骨性関節部と靭帯部によって構成されている(図2)。
靭帯性に強固に結合しているため安定性は高いが可動性は数度、数ミリと乏しい。
仙腸関節の特徴的な動きとして腸骨に対して仙骨が前傾する運動(nutation)と
後傾する運動(counter-nutation)がある(図3)。
○仙腸関節障害の発生
・仙腸関節に外力が加わることにより軟骨性関節部に負荷が加わり関節障害が
発生することが考えられる。
・仙腸関節の前傾や回旋が強制されることにより靭帯に牽引力が加わり関節障害が
発生することが考えられる。
○仙腸関節障害の診断
・有用な方法として村上が考案したone finger testがある。
これは患者に痛みのある部位を人差し指で示させる簡便なもので
これで後上腸骨棘(PSIS)を指すものは仙腸関節障害を疑う。
また後上腸骨棘の他に長後仙腸関節、仙結節靭帯に圧痛を認めることも
診断に役立つ(図4)。
・疼痛誘発テストの中にactive SLR testがある。
これは仰臥位で下肢を膝を伸ばしたまま挙げるもので、仙骨に後傾の負荷が
加わり痛みが誘発されるものである。
○仙腸関節障害の治療
・症状が軽度であれば痛みを避けた動作指導と適宜消炎鎮痛剤を使用
して経過をみることが多い。
・痛みが軽減しない場合はコルセットの装着や仙腸関節靭帯部への
ブロック注射を行う。
・運動療法としては確立されたものはなく骨盤周囲の筋力を高め関節の
安定性を高めることが推奨されている。