放射線技師の武田です。
11/24の院内勉強会に参加しました。半月板損傷の病態などについて勉強しました。
今回は内側半月板水平断裂、外側半月板前節部損傷、内側半月板後角損傷についてまとめたいと思います。
☆はじめに
半月板損傷は必ず痛みがあるというわけではなく、中高齢者では無症状の半月板損傷がMRIで指摘されることも多く、50歳以上の女性の19%、男性の33%にMRIで半月板損傷を認めたと報告されている。
☆内側半月板水平断裂
〇正常半月板は膝関節屈曲に伴い変位・変形する
〇膝屈曲に従い大腿骨内顆関節面と半月板との接触面積は増加する
⇒力を受け、半月板は後ろにたわんでいく
〇繰り返し力を受けることで断裂が生じる
〇膝屈曲に従い断裂部は開大し、断裂部の範囲が大きいとより大きく開大する
〇断裂部と屈曲による開大が小さい⇒保存療法により症状改善
〇断裂部と屈曲による開大が大きい⇒保存療法に抵抗する
☆外側半月板前節損傷
〇サッカーなどの蹴り動作のある運動選手に多い
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サッカー選手の半月板単独損傷のうち、外側半月板損傷が90%を占め、その3分の1が前節部での損傷と報告されている
〇膝外前方を中心に痛み、特に伸展位にて荷重時痛を生じる
⇒伸展制限を有する
〇MRIが有用であり、矢状断像にて外側半月板前節部の高輝度変化で検出される
・高輝度変化が縦断裂様に描出
・明らかな外傷歴のある症例では、変性を伴わない縦断裂が多い
・半月全体に高輝度変化が描出
・外傷歴がはっきりしない症例では、変性を伴う縦断裂が多い
⇒すだれ状に多くの縦断裂を有する
☆内側半月板後角損傷
〇中高年齢者にみられる変性を基盤とした障害の一つ
⇒決してまれな疾患ではない
〇50歳以上の女性に多い
〇日常の軽微な機転による急激な膝窩部の痛みとして発症
〇X線変化に比べると発症早期の症状は強い
〇MRIが有用である
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水分解能に優れたgradient echo法によるT2強調像(T2*)
〇発症早期には不全断裂のように見える症例でも数か月後に再度MRIを撮ってみると所見がはっきりしてくる例が多い(図4)
図4 経過とともに断裂所見がはっきりしてくる例
A:初診時、不全断裂の疑い
B:3カ月後、white meniscus sigh(△)、vertical linear defect(*)、
半月板の逸脱(↑)が明らかとなった
※white meniscus sigh(ホワイトメニスカスサイン)
半月板の一部があたかも消失したかのように真っ白に見える。
〇発症後3~6カ月で痛みや機能障害は軽減する
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画像成績ではOAグレードが進行する傾向にある
⇒特に肥満例に顕著である
〇特発性膝骨壊死症を発症することがある(図5)
(spontaneous osteonecrosis of knee : SONK)
図5 後角損傷後にSONKを続発した例
A:初診時、white meniscus sign(△)を認めるが病変を認めない
B:3カ月後、大腿骨内側顆部にSONKが発生した(〇印)
・骨粗鬆症性素因のある場合になりやすい
・脆弱性骨折が原因と考えられる