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クリニックブログ BLOG

院内勉強会『外脛骨障害、足底痛の診かた』について


はじめに

こんにちは、理学療法士の森田です。
今回の院内勉強会にて『外脛骨障害、足底痛』について学んだことをまとめていきたいと思います。

外脛骨障害は、様々な病態、要因が混在しているため、単一の治療法では症状が改善しにくい事も多く。治療期間も長期に及ぶ方もしばしばみられます。

  • 疫学・病態
    外脛骨は比較的よく見かける副骨であるが、存在だけでは症状が生じるものではない。正常足の4〜21%に存在すると言われている。
    扁平足の合併や急激な運動負荷、何らかの外傷などがきっかけとして疼痛が出現し、症候性に移行することが多い。
  • 分類
    一般的にveitch分類が最も用いられており、3タイプに分類されている。なかでも最も症候性に移行しやすいのがtypeⅡであり、その中でもa,bの2つに分類されている。

typeⅠは、基本的に症候性になることはほとんどない。
舟状骨との連続性がなく、後脛骨筋腱に発生する円形または楕円形の種子骨で舟状骨から少なくとも3mm離れている。

typeⅡは、typeⅠより大きな構造で8〜12mmの三角形またはハート形を呈しており、舟状骨との間に軟骨性または繊維軟骨性の結合を有する。

typeⅡbは、typeⅡaより下方に位置し、それぞれaには牽引力、bには剪断力が生じやすくなる。

typeⅢは、typeⅡの最終段階であると考えられており、舟状骨に骨性癒合しているため、症状がないものがほとんどである。


  • 症状
    主な症状は、外脛骨周囲の疼痛である。
    しかし、疼痛の種類(圧痛、運動時痛、安静時痛、運動後時痛など)や部位が様々であるため明確にすることが非常に重要となる。
    疼痛以外の他覚所見としては外脛骨部の膨隆や腫脹、後脛骨筋腱に沿った腫脹、熱感、両脚でのつま先立ちやSingle heel raise testが筋力低下や疼痛のため困難な症例が多い。
    慢性では、日常生活での症状はほとんどなく、運動時や運動後の痛みを生じることが多い。


具体的な発生機序と圧痛部位を以下に表と図で示します。



  • 診断
理学所見と単純X線で外脛骨を確認することに比較的容易に可能であるが、前述の疼痛部位の特定や鑑別のために、超音波やCT、MRIなどを用いる。

急性外傷を契機として疼痛が生じた場合、足関節から足部全体に腫脹や疼痛、皮下出血などを認める。このような症例では足関節外側靭帯損傷、内側靭帯損傷、二分靭帯損傷、距骨や足根骨の骨挫傷、舟状骨骨折などを鑑別することが重要である。特に受傷から1週間以上経過しても荷重が困難な症例ではCTやMRIによって骨折・骨挫傷の有無を積極的に調べる必要がある。

慢性疼痛の症例では、陳旧性靭帯損傷による足関節不安定性や周囲筋力の低下、扁平足による後脛骨筋機能不全などが合併していることがある。このため、足関節不安定性の有無、足関節周囲筋力、両脚・片脚立位でのアライメントでのバランス評価などの機能評価も必ず行う。


  • 治療
一般的な治療として、運動療法を中心とした保存療法から始める。
一定期間の保存療法を行なったのちにも症状が改善しない症状では手術療法が適応となる。

<保存療法>
捻挫、外脛骨部の打撲など急性外傷をきっかけに発症した急性症例と慢性的な外脛骨部の圧痛や運動後の疼痛といった急性症状を伴わない症例では初期の治療方針が異なる。
前者では、局所の腫脹・疼痛といった急性期の症状に対する治療として、局所安静を優先するために外固定、免荷など含めた急性外傷に対する治療を行う。
外固定期間は局所の腫脹の程度などによって異なるが、おおむね2〜3週間とする。局所の症状が落ち着いてから理学療法を開始する。
後者では外固定などは必要ないため、症例に応じて局所に対する疼痛
対策を含めた保存療法を開始する。

<運動療法>
運動療法は非常に重要で、一般的な足関節周囲筋の筋力訓練やストレッチなどは基本的に必ず行う。後脛骨筋を上手く機能できず、筋力低下を認めることが多いため、疼痛の出ない範囲で筋力訓練やストレッチ、協調性運動などを行う。オーバーユースが原因の症例では、疼痛が強すぎるために、運動療法が困難なことも多く、炎症や疼痛がある程度落ち着くまでの間、一時的に運動中止や運動制限を行い、疼痛のコントロールを行ってから、症状に応じて可能な範囲での運動療法を徐々に開始する。


<装具療法>

後脛骨筋の筋力低下を認める症例に対しては、アーチサポートのインソールを処方する。しかし、インソールは補助的な手段であり、インソール単独では治療効果は期待しにくいめ運動療法との併用が必要である。


<手術療法>

症状の改善がみられない症例が手術適応である。
手術法の選択基準として、骨端線が残存しているか閉鎖しているかでわけられる。
残存してるtypeⅡでは、経皮的ドリリングが有効である。外脛骨と舟状骨が癒合することを期待する治療である。
閉鎖している症例には、摘出術後に後脛骨筋腱を舟状骨に癒着させる前進術。または、外脛骨と舟状骨を骨接合する方法がある。
どちらの方法も治療成績は良好である。骨接合術は骨癒合に時間を要するため、前進術より後療法が遅くなる傾向がある。

<他の足底痛を有するもの>
足底痛はturf toeというものがあり、母趾MTP関節の底側痛が主症状である。足趾が伸展位で地面についた状態で荷重がかかって受傷することが多い。


●まとめ
足部痛は日常的にも多く生じるものであるが、単一での治療介入では改善しにくいものも多くあることを改めて理解し、正確な病態理解とともに多方面からの評価やアプローチを検討し早期改善を図れるように努めて参ります。