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5/22院内勉強会「腕神経叢牽引胸郭出口症候群の治療と評価」

はじめまして、理学療法士の牧野です。

今回は5月22日に院内勉強会「腕神経叢牽引型胸郭出口症候群の治療と診断」を行いましたのでご報告させて頂きます。

 

胸郭出口症候群

胸郭出口症候群とは、首から出た神経が腕に達する途中で圧迫または牽引されることにより腕の痺れや首・肩・腕の疼痛、冷感、倦怠感が生じる疾患です。

日常での重量物の負荷やスポーツ、姿勢不良により神経の牽引が慢性的に繰り返されることで症状が出現することが多いといわれています。

 

首から出た神経は下の図のように中斜角筋前斜角筋間鎖骨と第1肋骨の間烏口突起と小胸筋間を通り腕へ達します。不良姿勢などにより上記3か所が狭小化に伴う圧迫ストレス(圧迫型)または牽引ストレス(牽引型)により症状が出現します。

 

 

〈頚部を前面から見た図〉

前斜角筋 中斜角筋 神経

 

〈右胸部を前面から見た図〉

 

 

男女の割合としては牽引型が8%、圧迫型が18%、混合型が74%と言われています。牽引型はなで肩女性に多いと報告されています。(男:女 1:11)

牽引型の特徴・症状・診断方法を下記にまとめさせて頂きます。

 

特徴

・不良姿勢(なで肩で前傾姿勢)により好発する

・鎖骨が水平あるいは八の字となる(通常は斜め上方向に上がる)

 

症状

腕の外側に痺れが出ることが多い

・全身倦怠感

夕方に徐々に増悪する

・腕の肢位で症状が変わる

 

診断方法

モーレイテスト

神経の通過する斜角筋三角部(下図のa)と肋鎖間隙(下図のb)に圧痛所見がある場合陽性と判断します。

 

神経過敏性の評価

腕を下方に牽引することで症状の増悪肩甲帯を挙上することで症状の軽減が観察されます。

 

ライトテスト

電車のつり革につかまるように肘をまげて腕を上げた際に痺れや重だるさの出現、橈骨動脈の消失ないし減弱を認めます。

 

レントゲン検査

 

治療

治療はリハビリ装具療法投薬の3つがあります。

リハビリ

姿勢不良により疼痛・痺れが引き起こされることが多いため、肩甲帯周囲や体幹、下肢の機能改善を行い症状の緩和を図ります。

症状の程度に合わせて理学療法士が適切な訓練を考案します。

 

装具療法

なで肩により神経が過度に牽引され症状が出ている場合は肩甲帯装具を用いて姿勢を強制することで症状の軽減を促します。

〈肩甲帯装具〉

 

投薬

神経の過敏性を軽減する目的で神経や筋へのブロック注射や消炎鎮痛剤の処方をします。