今回の院内勉強会では投球障害肩について
学んだため病態と機能診断について報告します。
○病態
投球は肩関節に対して日常生活を逸脱した
過大な負荷がかかる動作である。
その病態は多岐にわたり、損傷を起こす身体の機能不全は
肩関節にとどまらず全身の要素が影響する。
また投球フォームの要素も関わるため病態はより複雑となる。
投球動作において肩関節内の負荷を抑えるためには
上腕骨頭が肩甲骨関節窩に対して求心性を保つ必要がある。
また振りかぶり(late cocking phase)で上腕骨と肩甲棘が
い一列になるsafe zone(ゼロポジション近位の肢位)に
収めることが重要である(図1)。
○肩関節の機能診断
・ゼロポジションで肩関節の外旋筋力は低下していないか。
ゼロポジションで外旋筋力が低下していると肘関節の運動軸を
運動方向に向けられないため肘伸展ができず肩関節の内旋が
主な投球フォームになってしまう。
下図(図2)の上は肩の水平外転を使って代償している。
下は体幹の後傾を使って代償している。
上、下ともに投球フォームとして「開き」となっている。
・ゼロポジションで肘関節の伸展筋力は低下していないか。
ゼロポジションでの肘伸展筋力が低下しているとボールリリース
で肘伸展位を保持できず、加速期(acceleration phase)で肘伸展
を主動作とした運動ができないため、肩関節の内旋を主動作とした
投球フォームとなってしまう。
下図(図3)の上は肘伸展筋力を発揮できている。
真ん中は肩関節内旋で代償している。
下は肘の位置を下げて代償しており、東急フォームとしては
肘下がりになっている。
・肩甲骨の固定性は低下していないか。
肩甲骨の固定性が低下している状態では上肢の土台として
機能しないため、下肢・体幹で生み出されるエネルギーを
効率的に指先へ伝達できなくなってしまう。
下図(図4)は肩甲骨の固定性を評価しており、徒手的な肩甲骨の
固定の有無で筋出力や疼痛の変化を確認している。
肩甲骨を固定したほうが筋出力が向上、疼痛の軽減を
認める場合は肩甲骨の機能障害を疑う。