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院内勉強会「ロコモティブシンドロームの評価」

放射線技師の武田です。
11/30の院内勉強会に参加しました。
今回は”ロコモティブシンドロームの評価”についてまとめたいと思います。



☆ロコモティブシンドロームとは

2007年日本整形外科学会が提案した概念で、運動器の障害によって、「立つ」、「歩く」という移動機能が低下した状態を言う。未病の状態を含む広い概念であり、進行すると介護が必要となるリスクが高まる。

対策をとれるような評価法が重要である
(移動機能低下を適正に評価する)



☆移動機能評価の背景

〇加齢に伴う運動機能の低下には特徴があり、困難となる動作の出現には順序性がみられる

・「立つ」、「歩く」機能の低下が早期に始まる

・ズボンの着脱などの日常生活動作(ADL)に困難が生じる

・洗顔、排便、排尿といった身辺動作も困難となる


〇要介護移行の予測因子(要介護リスク)

・椅子立ち上がり時間[椅子から5回立ち上がるのに要する時間(s)]が長くかかる
 ⇒自分の体を垂直方向に移動させる機能(立ち上がりテストにて評価)

・通常歩行速度(m/s)が遅い
 ⇒自分の体を水平方向に移動させる機能(2ステップテストにて評価)



☆ロコモ度テスト

日本整形外科学会では、身体機能評価法である「立ち上がりテスト」、「2ステップテスト」と主観的評価法である「ロコモ25」の3つのテストをロコモ度テストとして勧めている。


[立ち上がりテスト]


図1 立ち上がりテスト

両脚または片脚で自分の体重を垂直方向に移動する機能をみる方法である。
40cm,30cm,20cm,10cmの高さの台に座った状態から両脚または片脚で立ち上がることができた一番低い台の高さを測定結果とする。

・片脚で40cmの高さから立ち上がれない
⇒ロコモ度1

・両脚で20cmの高さから立ち上がれない
⇒ロコモ度2


機能低下が進んでいる状況にあるため対策が勧められる



[2ステップテスト]


図2 2ステップテスト

2歩分の最大歩幅(cm)を測定し、身長(cm)で除した値を「2ステップ値」とする。
下肢の筋力・バランス能力・柔軟性などを含めた歩行能力を総合的に評価する。

ex)自分の2ステップ値を計算してみる
2歩分の最大歩幅(cm)=250cm
身長(cm)=170cm

2歩分の最大歩幅(cm)÷身長(cm)=2ステップ値

250÷170≒1.47
 

・2ステップ値が1.3未満
⇒ロコモ度1(対策が勧められる)

・2ステップ値が1.1未満
⇒ロコモ度2(日常生活の機能として低下が進んでいる)



[ロコモ25]

疼痛、歩行、生活上の起居動作、身辺処理動作、家事動作、社会的活動に関する25の質問からなり、患者の状況を幅広く把握しようとする自記式質問票である。


図3 ロコモ25 質問票

・下肢の運動器症状が多いとロコモ25スコアは高くなる
・殿部痛、大腿痛、膝痛があるとロコモ25スコアは高くなる
・運動機能が低下するとロコモ25スコアは高くなる



図4 ロコモ25区分と困難の出現頻度

〇区分1(0~6点)
…25項目のいずれも項目でも困難さを自覚する人が50%を超えない区分

〇区分2(7~15点)
…身体の疼痛、急ぎ足で歩く、階段昇降、休まずに歩く、で困難さを自覚する人が50%を超える区分

〇区分3(16~23点)
…2kgの買い物、家の重い仕事、地域での催し物への参加を控える、で困難さを自覚する人が50%を超える区分

〇区分4(24~32点)
…椅子から立ち上がる、電車やバスで外出する、で困難さを自覚する人が50%を超える区分

〇区分5(33~40点)
…風呂での洗身動作、衣服の着脱、室内歩行、隣近所への外出、で困難さを自覚する人が50%を超える区分

〇区分6(41~49点)
…トイレ動作、で困難さを自覚する人が50%を超える区分



☆臨床的に介入が勧められる臨床判断値

〇ロコモ度1:下記の1つでも該当する者
・どちらか一側でも片脚で40cmの高さの台から立つことができない
・2ステップ値が1.3に達しない
・ロコモ25の総点が7点以上

〇ロコモ度2:下記の1つでも該当する者
・両脚で40cmの高さの台から立つことができない
・2ステップ値が1.1に達しない
・ロコモ25の総点が16点以上