院内勉強会を行ったので報告します。
今回は、「こどもの原因不明の非特異的腰痛に
陥りやすい病態について」です。
近年、こどもの腰痛の患者率13.7~60.3%と報告されています。
非特異的腰痛とは、「その原因を確定診断できない腰痛」のことを
指し、一般的な腰痛の85%が当てはまるとされています。
○原因の特定しやすい病態
・椎間板ヘルニア
・腰椎分離症(進行期、終末期)
○原因不明の非特異的腰痛に陥りやすい病態
1.腰椎分離症(初期)
2.椎間板性腰痛
3.椎間関節炎
4.骨端輪骨折
1.腰椎分離症(初期)
腰椎分離症は、進行程度を初期・進行期・終末期の3段階に分類されます。
初期
・単純X線では描出されない
・腰椎伸展で増強する腰痛
・Kemp Sign陽性(体幹伸展+側屈+回旋で痛みが出現するか)
・限局した棘突起の圧痛
※MRIに加えてSTIR(Short T1 Inversion Recovery)が有用
2.椎間板性腰痛
慢性腰痛の40%以上は椎間板が関与していると報告されています。
成人と比較するとこどもの発生は少ないがスポーツを盛んに行う場合
には椎間板が原因の腰痛が起こり得る。
画像所見ではっきりしない場合は、椎間板造影による疼痛再現とそれに続く
椎間板ブロックでの疼痛消失を確認して、椎間板性腰痛ち診断する。
特徴
・前屈位で増強する
・座位保持で増強する
3.椎間関節炎
通常、こどもの椎間関節は関節症性変化となっていることは少ないが、
スポーツの種類や外傷歴によって起こり得る。また、腰椎分離症と合併して
発症することもあると報告されている。
4.骨端輪骨折
骨年齢が未熟な時期に腰椎分離症が発生し、分離すべり症に進行する際に、稀であるが椎骨端輪に骨折を伴うことがある。
特徴
・急激かつ激烈な痛み
・神経根の圧迫による下肢痛
○治療
・スポーツ活動の中止
・ダーメンコルセットによる固定を少なくとも3か月間
・体幹筋の等尺性運動
→疼痛改善で等張性運動
・骨癒合傾向があればさらに3か月のスポーツ中止
→なければスポーツ活動への復帰を許可