放射線技師の武田です。
4/13の院内勉強会に参加しました。
今回は”肩こりと自律神経系の関係”についてまとめたいと思います。
☆はじめに
肩こりの定義は「後頭部から肩、および肩甲部にかけての筋肉の緊張を中心とする不快感、違和感、鈍痛などの症状、愁訴」とされている。
パソコン作業や書類作業等、長時間同じ姿勢を続ける方に慢性的な肩こりが現れることが多い。
治療には主に筋肉のこわばりをゆるめ、血液の流れを改善するような薬物療法やマッサージなどの物理療法が行われる。
☆痛みと自律神経系
〇急性痛では交感神経活動が亢進する
⇒心拍数増加、血圧上昇、発汗過多
〇慢性痛においても自律神経系に変調をきたす
※自律神経系の変調が腰痛や肩こりなどの慢性痛とどう関係するのかはほとんど明らかにされていない
☆肩こりと自律神経系
〇要因が明らかでない肩こりの誘発因子
・長時間の持続的筋収縮(過緊張状態)
・ストレスなどの心理的因子
〇僧帽筋負荷テストより肩こり有訴者の特徴
・僧帽筋酸素化ヘモグロビン濃度のリカバリータイムが遅延する
・テスト終了後も酸素化ヘモグロビン濃度がテスト前の状態まで回復しない
⇒肩こり有訴者では、健常者に比べ作業課題による僧帽筋酸素代謝の増加や酸素欠乏状態に陥りやすい
⇒酸素供給、代謝障害が痛みの要因の一つと考えられる
⇒自律神経系の反応が低下している
☆肩こりとストレス
〇心理社会的ストレスは筋骨格系症状に影響する
⇒首・腰に影響がでやすい
⇒肩こりもストレスの多い労働者に多い
〇交感神経‐副腎髄質系(SAM system)
…運動や痛みなどの身体ストレス(急性ストレス)に反応する応答系
〇視床下部‐下垂体‐副腎皮質系(HPA axis)
…恐怖・不安・痛みなどの心理的ストレス(慢性ストレス)に反応する応答系
※急性ストレスにも反応する
〇自覚的な肩こり強度が強い人では、SAM system と HPA axis の両方を反映する唾液αアミラーゼ活性が高い
⇒ストレス応答系が働きやすい
⇒ストレスを感じやすい人は肩こりになりやすい
☆肩こりと姿勢
〇肩こりの好発部位は僧帽筋を含む頭部および上肢を支える筋である
⇒姿勢の影響を受けやすい
〇上位頸椎の伸展と下位頸椎・上位胸椎の屈曲による頭部前方突出位姿勢は僧帽筋上部の過剰な筋緊張の原因となる
〇肩こり有訴者では頭部の前方偏位と上位頸椎の過伸展を認める
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不良姿勢が生じる原因として姿勢保持に必要な筋の筋力低下が考えられ、そのことが男性に比べ女性に肩こりが多い理由の一つと推察される