半月板変性、半月板切除による二次性膝OAに焦点をあて院内勉強会を開催したので報告します。
半月板とは、
膝関節の内側と外側に1個ずつある三日月型の線維性軟骨組織です。半月というよりは三日月を少し太くしたような形をしています。膝の関節に加わる衝撃が一箇所に集中しないよう分散させるクッションのように「衝撃緩衝作用」の働きをするほか、その形状でひざを安定させる「関節適合性を高める」役目を果たしています。また、関節潤滑および関節軟骨への「栄養供給」を行っています。
<変形性膝関節症>
変形性膝関節症は加齢に伴う関節軟骨の摩耗変性を主体とした慢性退行変性であり、90%近くが明らかな原因のない一次性とされる。
一次性の発症と進行には
○内的要因 ○外的要因
・性別 ・職業
・体重 ・活動性
・下肢アライメント
・遺伝要因
二次性の発症と進行には、膝関節への大きな侵襲を伴う原因疾患が存在する。
・外傷
・炎症疾患
・非炎症性疾患
・膝関節手術
二次性膝OAに対する半月板の関与
次の2つが二次性膝OAに影響を及ぼす半月板の因子と考えられる。
・明らかな外傷既往と適正な診断による半月板損傷の存在
・手術による半月板の処置
※明らかな外傷のない半月板変性では、無症状であることも多い
半月板切除の影響
非手術側と比べて有意にOA変化が出現するが、臨床症状とは関連せず痛みや日常生活動作の低下が生じるとは限らない。
変性半月板障害の影響
経年的に生じる半月板変性や変性断裂は軽度もしくは中等度の場合その多くは無症状もしくは有症状であっても間欠的であることが多い。膝に痛みなどの症状がない正常人115名で平均年齢47.5歳の膝をMRIで調べてみると57.8%で変性が生じていることが報告されている。
<内側半月板バケツ柄断裂>
半月板損傷のうち9~27%にみられる損傷であり、後角~中・前節まで続く半月体部の縦断裂あるいは斜断裂が典型的である。臨床症状としては激痛を伴ったロッキングを呈し、膝を屈曲して動かせなくなり、来院することが多い。特徴的なMRI所見がありロッキングしていれば診断は比較的容易である。バケツ柄断裂を疑った場合、受診後早期にMRIを撮影し早急に外科的な整復および修復術を施すことが望ましい。バケツ柄断裂とともに11~48%で前十字靭帯損傷を合併している可能性がある。
MRIの所見
・fragment in the intercondylar notch sign
・absent bow tie sign
・doublePCL sign
治療
・半月板実質部の損傷が少ない場合、
鏡視下でのロッキング整復
半月修復術
・半月板実質部の損傷が大きい場合、
半月切除術
円板状半月板
通常、半月板の形は中心に穴の開いたドーナツ型をしています。しかしながら、この半月板の中心の穴がなく「円板」のような形をした半月板を持っている人がいます。外側~中央を超えているものを円板状半月板といわれます。報告にもよりますが数%~十数%の人が円板状半月板であるといわれています。アジアで多くみられ外側円板状半月板損傷は日常診療でよく遭遇する病態です。円板状半月板自体は病気ではなく、その人の体の特徴と考えられ、生涯を終えるまで無症状の人も多くいます。しかし、小児に起こる半月板障害の場合、円板状半月板であることが多く、症状が続く場合は、二次的に関節軟骨の損傷を起こすため、手術的加療を検討します。