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院内勉強会「内側半月板変性断裂に対する治療、円板状半月板の診かた」

●はじめに

今回の院内勉強では「内側半月板変性断裂に対する治療」「円板状半月板の診かた」について参加させていただきましたので報告します。

半月板とは…
膝関節の中で大腿骨と脛骨の間にあるC型をした軟骨組織で内側・外側にそれぞれあり,円滑な運動を助ける5つの機能をしています。

1)関節の適合性を高める
2)衝撃吸収作用
3)可動性の適正化
4)関節内圧を均等化
5)滑液を分散させる

●内側半月板変性断裂に対する治療

中高年・内側に多くみられ,加齢や過度に繰り返されるストレスによる半月板の組織学的な劣化を伴った損傷と考えられています。

若年者のスポーツ活動で起こる損傷と比べて軽微な動きで発症することが多いとされています。

断裂形態としては,フラップ(弁状)断裂が多いが水平断裂を伴って複合断裂となっている場合もしばしばみられます。
しかし,MRIで半月板損傷がみられた中で61%は症状がなかったという報告もあります。

典型的な症状は,引っかかり感や屈曲動作などで痛みを訴え,腫脹や水腫は強くない場合が多く,陳旧化してくると水腫はほとんど認められなくなります。
症状の強さによりますが,基本的には保存的治療が選択される。

高齢者の場合は変形性膝関節症を合併していることもあり経過観察で次第に疼痛が改善していくことが多く見受けられます。
年齢が比較的に若く,水平断裂を伴って急に発症し生活に支障をきたしている場合は,早期に手術が選択されることもあります。

手術は,切除術を行うことが多いです。変形性膝関節症の進行する可能性を極力減らすために切除は原因となっている部分に限定して最小限度で行われます。変性により,半月板が毛羽立って見えるものを綺麗にするトリミングや縫合術を併用することも考慮されることもあります。
切除の場合は痛みに応じて荷重を許可していきます。軽いジョギングは1-2ヶ月後から,スポーツ復帰は3-4ヶ月後とされています。

縫合の場合では,1-2週間は固定と荷重制限を行い,その後可動域訓練。ジョギングは3ヶ月以降でスポーツは6ヶ月以降と期間を要するとされています。

手術の有効性を調べた研究では,切除術と保存的治療で運動療法を行った結果,改善は認められるが,有意な差は認められなかったと多く報告されています。

●円板状半月板の診かた

円板状半月板は,東アジア圏で頻度の高い疾患であり,その発症機序や長期予後についてはまだまだ不明な点が多いです。

特徴としては,圧倒的に外側が多く,その形状,付着部形態から完全円板状半月板と不完全円板状半月板,Wrisberg型(大きさに関わらず,後方の骨性付着部が欠損しWrisberg靱帯のみで付着しているもの)の3つに分類されます。

無症候性のものも多いが,症候性のものでは高頻度で両側性にみられることが多いです。
症状としては,疼痛,引っかかり感,膝崩れ,水腫,弾発膝,ロッキング,可動域制限が見られます。明らかな外傷がなくても症状を呈することや離断性骨軟骨炎を合併することもあるため注意が必要です。
特に幼少期においては引っかかりを症状として自覚しにくく,轢音やsnapping,可動域制限などで受診することが多いです。

治療として,無症候性では経過観察となり,有症状は手術適応となる事が多いです。従来は全切除・亜全切除が主流であったが,術後の急激な変化に対して合併症リスクなどから,現在では形成的切除や修復を加える半月板の温存が主流になってきています。

形成切除術単独では,術翌日より可動域訓練や筋力訓練を開始し,2ヶ月以降にジョギング,3ヶ月以降に段階的にスポーツ復帰を許可されています。

形成切除術+縫合術では,術翌日より可動域訓練や筋力訓練を開始するが,膝関節90°以上の深屈曲荷重は3ヶ月禁止。3ヶ月以降にジョギング,6ヶ月以降に段階的にスポーツ復帰を許可する。

●さいごに

半月板は,膝関節内で重要な役割を果たしていますが,そのため負荷が多く加わり損傷や加齢に伴い変性をきたすことも多いです。
個々の症状に応じて治療選択をする必要があり,手術を選択する場合は慎重に検討することが薦められています。