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クリニックブログ BLOG

院内勉強会「ロコモ、フレイル、サルコペニアを診る」

●はじめに

こんにちは、理学療法士の佐野です。11月18日に行われた院内勉強会に参加しました。
今回のテーマは「ロコモ、フレイル、サルコペニアを診る」についてです。

●ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは?

 ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)は腰や膝など運動器の障害により移動機能の低下が起こった状態で、進行すると介護が必要となるリスクが高まるものと定義されています。
 ロコモは運動機能を評価する上で重要視され、立ち上がりテスト、2ステップテスト、自記式調査票(ロコモ25)といった3つの評価項目により、比較的に日常生活に支障が出ずロコモの初期に当たるロコモ度1、移動機能が低下し、日常生活にも支障が出てくるロコモ度2、さらに移動機能低下が進み、自立した生活が困難になるリスクが高くロコモ度3と段階分けされています。
 ロコモは後述するフレイルやサルコペニアとの関連性が高く、進行すると日常生活にも支障をきたすため進行予防のアプローチが着目されています。

●ロコモの評価項目

 ・立ち上がりテスト
  下肢筋力を簡便に評価することができます。10~40㎝の高さの台を用いて行い、片脚または両脚で立ち上がることのできる 
        最も低い高さを調べます。立ち上がる際には反動を使わず手を台につかないようゆっくりと行います。片脚の場合は脚は、  
     軽く伸ばして行います。(図1)

                          図1 立ち上がりテスト

 ・2ステップテスト
   歩幅を評価するテストで、歩行速度との関連が強いとされています。立った状態から、可能な限りの大股で2歩進み、進んだ
   歩幅の数値を身長で割り、求められた値が2ステップ値となります。
   目安としては1.3以上あれば問題ないとされています。(図2)
                         図2 2ステップテスト


 ・自記式調査票(ロコモ25)
   25項目の質問で日常生活動作の困難さを調べます。1問ごとに5つの選択肢があり、それぞれの選択肢に0~4点が振り分けら
   れ、合計点(0~100)で評価を行います。点数が低ければ低いほど良好な状態であるといえます。 
 
 ・判断地基準
   各テストの結果を踏まえロコモ度が決まります。それぞれの基準は以下の通りです。
    ロコモ度1‥どちらか一方の片脚で40cmの高さから立ち上がれない
           2ステップテストの値が1.3未満
           ロコモ25の点が7点以上
    ロコモ度2‥両脚で20cmの高さから立ち上がれない
           2ステップテストの値が1.1未満
           ロコモ25の点が16点以上
    ロコモ度3‥両脚で30cmの高さから立ち上がれない
           2ステップテストの値が0.9未満
           ロコモ25の点が24点以上
   
 ●フレイルについて


 フレイルは加齢に伴い徐々に生理的予備能が低下し、ストレスに対しての弱くなり生命力の低下を引き起こす状態で、健康的な状態から生活機能障害、要介護状態、死亡などに至るまでの中間段階として位置づけされています。フレイルに至る原因は多面的な要素が含まれており、身体的側面(筋力低下による動作の俊敏性の低下による転倒など)、精神・心理的側面(認知機能障害、うつなど)、社会的側面(独居や経済的困窮など)が挙げられます。
 フレイルの予防として着目されているのが、栄養療法運動療法の2つです。栄養療法では果物や野菜、魚、豆類やオリーブオイルといった未精製の穀物といったものをバランスよく摂取すると良いとされています。加えて運動療法の介入により歩行、筋力、身体運動機能、日常生活活動度の改善が期待され、主にレジスタンス運動やバランストレーニングなどを組み合わせた運動がフレイルの予防に強く推奨されています。

●サルコペニアについて

 
人間の筋肉は自分で動かすことが可能な骨格筋、心臓の心筋、自分の意志では動かしたりできない平滑筋で構成されています。サルコペニアは加齢に伴う骨格筋量の低下に加えて筋力および身体機能の低下した状態と定義づけされていますが、疾患によって若い年齢でも発症する可能性があるとされています。骨格筋量の正確な測定には装置が必要とされていますが、筋力評価では握力を基準とした評価、身体機能評価では椅子からの立ち上がりや6メートル歩行での評価など現場での評価がしやすいものが挙げられます。

●さいごに


今回はロコモ、フレイル、サルコペニアについて学び、まとめていきました。
ロコモ、フレイル、サルコペニアの定義づけや評価基準、改善のためのアプローチについて理解を深めることができました。
どれも進行していくと日常生活にも支障が起こりやすくなることでQOL(生活の質)の低下を招く要因の一つとなります。しかし適度な運動や栄養、休息など規則正しい生活を心掛けることで進行の予防や状態の改善を図ることもできるため、早期の介入がポイントになってくると考えます。医療現場の取り組みとして日常生活での活動量が少ない人、運動する習慣がない人にもできるアプローチを模索し、運動機会を増やす手助けができるよう努めていきたいです。

当院では、このような勉強会を定期的に実施しております。今後も患者様のために研鑽していきます。今後の投稿も楽しみにしていてください。