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クリニックブログ BLOG

院内勉強会「スポーツ選手の半月板損傷」

●はじめに
こんにちは、理学療法士の森田です。
先日、院内勉強会が行われましたので報告します。

今回は「スポーツ選手の半月板損傷」についてです。
以前ブログにも書かせて頂きましたが、半月板の役割は主に下記5つになります。
● 関節の適合性を高める
● 衝撃吸収作用
● 可動性の適正化
● 関節内圧の均等化
● 滑液の分散


半月板損傷は、膝のスポーツ外傷の中でも最も高頻度に発生するものの一つであり、さらに手術に至る頻度が高い外傷です。
また、年齢や繰り返しの負荷により損傷することを変性断裂と言われています。

現代では、荷重分散機能、膝関節のsecondary stabilizerとしての機能が明らかにされつつあり、できるだけ温存を図ることが多くなっています。一方でスポーツ選手の半月板損傷では温存目的の縫合術ではより長く復帰に時間を要するとされていることから切除術が選択されることは少なくありません。

●半月板損傷の診断
自覚症状として、大腿脛骨関節裂隙の疼痛、弾発現象やクリック音、引っかかり感、そしてロッキングによる伸展制限、亜脱臼感を訴えることもあります。
受傷原因として、屈曲と回旋の運動が加わって生じるとされています。

〇理学所見
立位での下肢アライメントを確認、股関節・足関節の可動性低下による膝関節への回旋ストレスの影響を確認、膝関節自体の可動性や動作時痛の確認。
また、関節裂隙の圧痛は半月板損傷の診断で最も頻度の高い所見であるが、特異性は低く、信頼性はあまり高くありません。そのため、さまざまな所見・検査を行うことが重要です。
主な徒手検査として、Mc Murray test、Apley test、Pivot shift testなどがありますが、いずれも患者様がリラックスしていることが必要な検査であるため、痛みの強い受傷早期・急性期には十分な評価は困難です。
確定診断をするためには、MRI検査が最も有用です。X線検査では異常を見出すことが困難であるが、病態考察の一助となります。

〇評価・分類
MRIにおける半月板損傷評価にはMink分類が用いられます。
grade1,2は経過観察。grade3で治療対象となります。

〇半月板の損傷形態
半月板はその形態から主に盾断裂、横断裂、水平断裂、FLAP状断裂に分けられ、他にバケツ柄状断裂や円板状外側半月板断裂などがあります。

〇保存療法
適切な保存治療を行うためには、正しく病態を把握し、患者背景や時間的余裕などを考慮する必要があります。
保存治療の実際は基本的に他の膝疾患と変わらず、また半月板縫合術後のリハビリテーションと同様で患者様の状態を考慮し早期回復を促します。症状の強い時期は必要に応じて薬物療法や関節内注射で痛みや腫れをコントロールします。スポーツ復帰に向けて状態を調整しながら運動量を段階的に上げていきます。

〇手術療法
半月板由来の機能的症状があり、保存療法に反応しない場合に検討されます。スポーツ選手の場合では年齢や時期、チームでの立場、監督やトレーナー、保護者と十分相談しながら総合的に判断していく必要があります。

●まとめ
スポーツ選手の半月板損傷について、主に半月板温存手術を中心にっ解説されていました。近年では多くの有用な縫合方法が開発・改良されてきており、治療期間についても切除術と大きな差異はなくなってきています。スポーツ選手といえど将来性は一般の患者様と変わりなく、また選手生命の観点からも可能な限り半月板温存を図る必要があるとされています。

●さいごに
今回の勉強会では、半月板損傷の中でもスポーツ選手について、保存療法、手術療法を病態だけでなく患者様の状況や環境に配慮しながら早期回復を図ることを検討する重要性について改めて確認することができました。今後も患者様に寄り添うリハビリテーションを展開していけるように研鑽を続けていきたいと思います。

当院では、このような勉強会を定期的に実施しています。今後も患者様のために研鑽していきます。今後の投稿も楽しみにしていてください。