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院内勉強会 「膝靭帯損傷の診かた」

●はじめに
こんにちは、理学療法士の牧野です。
今回の院内勉強会では「膝靱帯損傷の診かた」について院長からご教授頂きましたので報告します。
膝関節には以下の図のように靱帯が存在し、様々な方向への動きを制動し安定性を高めています。

スポーツや交通事故など膝へ大きな外力が加わった際に靱帯損傷が生じます。
以下にそれぞれの靱帯損傷の特徴についてまとめます。


●前十字靱帯損傷
1.靱帯の機能
 大腿骨に対する脛骨(膝から下の骨)の前方移動を制動する。



2.受傷起点

 バスケットボール、サッカー、バレーボール、スキー、バトミントン、柔道、ラグビーなどのスポーツで多く見られます。
他者との接触が原因となる「接触型損傷」と接触がなく、急な方向転換や停止・ジャンプの着地などが原因となる「非接触型」に分かれます。「非接触型」が70%の割合であり、男女比は女性が2~4倍多いことが特徴です。


3.診断方法

 ・ラックマンテスト
 ・前方引き出しテスト
 ・pivot shiftテスト
 

   
 ・画像診断(MRI・単純X線)
   下図:MRI 左は正常、右は断裂像


 X線では靱帯の損傷はみることができませんが、骨折の診断には有用です。
膝関節の腱付着部の骨折が確認されると75~100%の確率で靱帯損傷を認めると言われています。

下図:単純X線画像



3.治療方法
 若年で活動性の高い患者に対しては靱帯再建術をおこなうことが推奨されています。
保存療法では着地動作を繰り返すスポーツで膝崩れが出現するため復帰が困難であり、手術治療が必要になる場合が多いです。
 術後はリハビリテーションが有用であり、スポーツ復帰までに約6~9か月とされています。


●後十字靭帯損傷
1.靱帯の機能
 大腿骨に対する脛骨(膝から下の骨)の後方移動を制動します


2.受傷起点
 スポーツ中に膝から落ちて膝前面を打撲して受傷、あるいは交通事故で膝前方からの外力が加わって受傷することが多いです。


3.診断方法
 ・Posterior sagging兆候
  (膝を曲げた状態で脛骨の後方への落ち込みがある)
 ・後方引き出しテスト
 ・脛骨の叩打痛の有無

 
 ・画像診断(MRI・単純X線)
  下図:MRI 左は正常、右は断裂像
 


4.治療方法
 保存療法が多い。重度の損傷が不安定性が高い場合は腱再建術を行います。
 

●内側側腹靱帯損傷
1.靱帯の機能
 膝関節の外反(外側への曲がり、いわゆるX脚)を制動します。



2.受傷起点
 靱帯損傷のなかでは頻度が高く、コンタクトスポーツやキック動作など膝に外反力が加わることで受傷します。


3.診断方法
 ・外反ストレステスト


 ・画像診断(MRI・単純X線)

 

4.治療方法
 多くは保存療法の適応。重度損傷の場合は十字靱帯損傷を合併していることが多いため、腱再建術の適応となります。


●さいごに
今回の勉強会では、それぞれの靱帯損傷について実技や画像をふまえながら理解を深めることができました。
膝の靱帯は安定性を高めるために重要な役割をしてしています。靱帯に過度な負担をかけ、損傷が起こらないよう周囲の筋力を鍛えることも重要となってきます。
当院では、このような勉強会を定期的に実施しております。今後も患者様のために研鑽していきます。今後の投稿も楽しみにしていてください。