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5/8院内勉強会「肩関節周囲炎・腱板断裂の診断」

こんにちは、理学療法士(PT)後藤です。

今回はゴールデンウィークあけの5月8日に院内勉強会

「肩関節周囲炎・腱板断裂の診断」

を行いましたのでそのご報告をさせていただきます。

今回も毎度のことながら院長のわかりやすい説明でした。

また今回は超音波(エコー)での画像診断の話もあり、

新しいエコーを使い、エコー診断について教えていただきました。

僕たちPTも実際にエコーを使いきれいに描出するやり方や写っている筋や腱など説明を行っていただきよりより理解が深まりました。

それでは本題にいきたいとおもいます。

 

 

はじめに

肩関節周囲炎および腱板断裂は肩に疼痛と機能障害を引き起こす代表的な疾患です。

そのため身近な人にも肩が痛いなど言っているヒトはいませんか?

それくらい頻繁に目にする疾患です。

周囲炎と断裂では病態が全く異なります。

しかし、症状は酷似しています。

そのため、他の疾患を除外することが重要であるため、身体所見・理学所見に加え、単純X線・超音波(エコー)・MRIなどの画像検査を行っていきます。

それにより治療方針が決まり治療に進んでいくことができます。

 

 

はじめに、肩関節周囲炎を説明していきます。

 

 

肩関節周囲炎

よく聞く病名だと思いますが、単一の疾患を示すものではなく、

肩関節に疼痛と可動域制限をきたす疾患の総称です。

 

一般的には「五十肩・四十肩」として認識されている。

 

特徴は・・・

病期(炎症期・拘縮期・回復期)を経て軽快するものです。

※欧米では凍結肩(primary froxen shoulder)言われています。

発生頻度は人口に対して2〜3%で、好発年齢は40〜60代、70%は女性で発症し、両側罹患は17%である。また再発は稀です。

 

 

症状(病期ごとに)

それぞれの時期において症状や治療方針が異なります。

炎症期

安静時、動作時のいずれにおいても疼痛が強く、夜間痛もみられます。

拘縮期

拘縮に伴う可動域制限及び可動域最終域での動作時痛が主症状となります。また夜間痛ではなく、寝返りなどの体動に伴う夜間の疼痛を訴える場合もあります。

回復期

多くは徐々に自然軽快するが、症状改善には長期間(数ヶ月〜数年)を要する例が多い。また症状が寛解せず疼痛・拘縮が残存する場合もあります。

 

 

治療方針

炎症期

関節注射や投薬、局所安静などの消炎鎮痛処置が中心。この時期に無理に動かすと疼痛や機能が増悪につながることがあるため。

拘縮期以降

拘縮に伴う可動域制限および可動域最終域での動作時痛が主症状であり、リハビリテーションによる拘縮改善や肩甲体機能改善が中心。

拘縮が残存し支障が大きい場合には徒手的な授動術(麻酔下)や関節鏡視下の関節包切離が適応となる例もあります。

 

 

続いては、、、

 

 

腱板断裂

一般住民を対象とした調査では、50歳以上の約25%に断裂し、そのうち約2/3は無症候性断裂であることを報告しています。

また、腱板断裂の有無は、70歳代では約45%、80歳代で50%と年齢を増すごとに上昇していたと報告されています。

診断においては身体所見、画像診断が重要。上肢の挙上困難であれば頚椎疾患の除外も重要です。

また断裂の程度により部分or完全断裂に大別されます。

 

診断(身体所見・理学所見)

身体所見 視診

三角筋・棘上筋・棘下筋などの肩周りの筋肉が萎縮してないかを確認する。

身体所見 触診

断裂部の陥凹、礫音を確認する。

断裂部の陥凹は断裂によって生じた陥凹を三角筋の上から触知するものであり、広範囲に及ぶ断裂の場合には触知できないこともあります。

礫音は上腕下垂位・肘屈曲位で肩を軽度伸展し、検者が大結節部を触知しながら反対の手で他動的に患肢を内外旋させ、礫音の有無の判断します。

理学所見

関節可動域、インピンジメント徴候(NeerやHawkins)、腱板機能評価(棘上筋や棘下筋、肩甲下筋、小円筋)が主体評価となりますがまだまだ様々な評価をかけわせていきます。

僕たち理学療法士は臨床の限られた時間の中で評価と施術を行っていますが、評価がなければ原因を見つけることができません。

そのため僕たちはトライ・アンド・エラーを繰り返し取り組んでいます。

 

 

治療方針

投薬、関節注射、リハビリテーションを中心とした保存治療と手術に大別されます。

一般的に腱板断裂に対しては、まずは保存治療を行います。

疼痛や機能障害の改善が得られない例に対して手術治療を行うとされています。

保存的治療

薬物療法

急性期の安静時痛及び夜間痛には薬物療法が有用であり、消炎鎮痛薬(NSAIDsやアセトアミノフェン)の内服、ヒアルロン酸やステロイドの肩峰下滑液胞内への注射が行われます。

リハビリテーション

肩甲帯機能訓練、内外旋の筋力訓練や拘縮に対するリハビリテーションを行います。

リハビリテーションを含めた保存的治療で70〜80%の患者で症状の改善が得られたと報告されています。

手術

腱板修復術

鏡視下腱板修復術が広く行われており、直視下手術と比較して成績には差がなく、術後早期の除痛においては鏡視下手術のようが優れていたという報告がされています。

修復術には多彩な手術がある。。。

リバース型人工肩関節

原則70歳以上の偽性麻痺肩に適応となります

自動挙上の改善、除痛などにおいて良好な成績が報告されているが、合併症が多いと報告されており、他に治療方法がない症例に対して最終的な治療手段として用いるべきです。

 

 

 

おわり

肩関節周囲炎及び腱板断裂について、臨床像・検査・診断法・治療などを説明していきました。

病歴、主訴、身体所見及び画像所見を総合的に評価し、機能障害を引き起こしている病態の主座を把握することが重要で、そこから治療が始まっていきます。

無理に酷使せず休ませても痛みが引かないなら、是非当院に来てください。