今回の院内勉強会では「外傷性頚部症候群による
長期休業に腰痛の併発が及ぼす影響」について
学んだため報告します。
○はじめに
外傷性頚部症候群は一般的に「むち打ち症」と呼ばれている。
その発症のメカニズムが十分に解明されておらず、
治療効果が得られにくい患者がいるなどの意見がある。
腰痛は日本人の多くが日常的に経験する症状である。
慢性腰痛は有病率の高さからも社会的な損失であると指摘されている。
慢性腰痛は難治であり、治療者の対応(指導、共感、励ましなど)が
治療成績や患者の満足度を向上させると言われている。
1995年にカナダで作成されたケベック報告では、
治療早期に患者へ予後が良好であると安心感を
与えることが必要であると強調している。
○長期休業(2週間以上)に影響する因子
交通事故でむち打ち症となり休業しなかった群と
休業2週間以上した群で影響した因子を
オッズ比が高い順で以下に挙げていく。
①車両損壊度が中破以上 オッズ比:3.038
明らかな車体後部の変形、それ以上の損傷がある。
②多重併用療法を行ったこと オッズ比:2.988
鎮痛剤か筋弛緩剤と外用剤と物理療法のいずれもが1ヵ月以上継続した。
③自動車運転状況において職業運転手であること オッズ比:2.701
タクシー運転手、運転業務従事者など。
④バレリュー様症状があること オッズ比:2.445
事故後1週間以内にめまい、ふらつき、体の不安定感などがあった。
⑤自身で安静を心がけたこと オッズ比:2.411
⑥不安症状があったこと オッズ比:2.399
抗不安剤の処方があった
⑦腰痛が併発したこと オッズ比:2.142
○治療に関して
・一般開業医とカイロプラクティックの両方で
治療を受けた例の回復率が低いと報告がある。
・症状が長期化した患者に対しては通常の診療と
1回の理学療法的助言がすすめられるとしている。
・ケベック報告では
症状が強い初期には鎮痛剤や筋弛緩剤などの薬物療法とともに
医療者が普段通りの生活を送るよう助言すること。
不要な不安感を抱かせないよう指導することが順調な
症状回復にとって重要としている。