理学療法士の山形です。
院内勉強会にて頚部の脊髄症、神経根症の手の症候について
学んだため報告します。
○頚部脊髄症の手の症候
脊髄の障害部位の違いによって
①索路徴候(long tract sign)
②髄節徴候(segmental sign)
上記の2つに分けられます。
今回は、①について詳しく記載します。
○索路徴候とは
圧迫高位脊髄の白質(図1)の障害によるものです。
脊髄白質の障害では圧迫高位より遠位に痙性麻痺、
筋力低下は一般的に伴わないか、認めても軽度です。
※因みに髄節徴候とは・・・
脊髄の灰白質(図1)の障害によるもので
圧迫高位の脊髄節支配筋の筋力低下や筋委縮を生じ、
深部腱反射は低下ないし消失(弛緩性麻痺)します。
○索路徴候でみられる手の症候
Myelopathy hand(頚髄症の手)
特徴:
①「開きづらい手」
②「尺側(小指側)の指が言うことをきかない手」
であり①はFinger escape sign、②は10秒テスト(Grip and release test)
により評価されます。
Finger escape signとは・・・
手のひらを下に向けて両手を前に出し、全ての指を揃えて
30秒伸ばした状態を保たせます。
頚髄症の重症度によって小指、薬指、中指と揃えること、
伸ばすことが出来なくなります(図2)。
10秒テスト(Grip and release test)とは・・・
手のひらを下に向けて両手を前に出し、「グー」「パー」を
出来るだけ早くかつ不完全な曲げ伸ばしにならないように
10秒間で何回出来るか数えます(図3)。
健常者における平均値は26±6.7回、頚髄症患者と健常者の閾値は21~22回、
高齢者の場合は20回以下、壮年以下では25回以下で回数が低下している
と判断しています。
図3 10秒テスト(Grip and release test)
後の報告で「手袋状あるいは長手袋状の知覚障害を示す手」とあるように
頚髄症では感覚障害がみられます。
感覚障害の有無は頚髄・頚椎症とALSの鑑別で重要です。
○頚部神経根症について
年齢:中高年層に多く、10歳代は皆無であり、20歳代は稀
初発症状:頚部痛単独が7割、頚部痛に上肢痛あるいは手指のしびれを
併発したのが3割
頚部神経根症のほとんどが片側の頚部痛で発症します。
※因みに脊髄症の多くが指のしびれで発症します。
頚部痛での発症は皆無と言って良いとされています。
○頚部神経根症の手の症候
特徴:
①指のしびれ
②筋力低下