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院内勉強会 「歩容異常(跛行)について」

こんにちは。

理学療法士の大岩です。

今日は8/25に行われた「子どもの歩容異常(跛行)と成人の跛行」について勉強会を行いました。今回はその中でも子どもの歩容異常を中心にまとめていきたいと思います。

小児の内旋歩行(うちわ歩行)について


うちわ歩行とは、歩くときにつま先が内側に入ってしまう歩き方(内股で歩く)のことをいいます。

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うちわ歩行の原因としては以下の3つが考えられます

大腿骨の過前捻

下腿内捻

内転足


評価の仕方は以下の通りです

①うつぶせに寝て膝を曲げた時、大腿骨過前捻の場合大腿骨が内側を向いてるため、膝蓋骨が内側を向きます。また股関節の外旋方向への動きが制限されます。

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② うつぶせに寝て膝を曲げた時、下腿内捻がある時は大腿骨に対し足が内側に入ります

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③踵の真ん中を中心として指先を見た時、内転足の場合その中央線が中指より外側を通ります

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年齢別によるうちわ歩行の原因の割合は以下の通りです。

大腿骨の過前捻は新生児期には良く見られますが、筋肉の発達で7歳頃までにはほぼ真っ直ぐに近づきます。

下腿内捻は乳児期には見られ、3~5歳頃には真っ直ぐになり、その後少し外側を向いていきます。

内転足は1歳前にはよく見られますが、変形が柔らかいので2歳頃までには自然治癒します。

すなわち下腿内捻内転足に関しては、3歳頃までには自然治癒することが多いのです。

4歳以降まで残るうちわ歩行の原因は大腿骨の過前捻が問題となっている事がほとんどです。

うちわ歩行は問題となるのか?


うちわ歩行は、子どもの発達段階において多く見られる歩き方です。

しかし、ほとんどの場合は成長過程にともない(筋肉が発達することなど)自然治癒することが多いです。うちわ歩行は多少残存しても、痛みを生じたり、運動能力が下がるなどの障害は出てこないため、容姿的な問題が一番となってきます。


ただし・・・
以下の場合は手術適応になる場合があります。

・痛みを生じている場合

・内股が成長と共に強くなる場合

・8歳以降でも極端なうちわ歩行が見られ、転倒が繰り返される場合

このような機能的な問題が生じている場合は整形外科を受診しましょう。

子どもは、個々に成長段階が異なるため正常か異常があるか見極めることは難しい事です。気になることがあれば一度ご相談ください。

 

その他関節疾患に伴い跛行が見られる場合があります。

小児期


発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)

脱臼または亜脱臼しているため関節の支持性がなくなり中殿筋の機能低下が見られます。その為健側の殿部が下がる歩き方(トレンデレンブルグ歩行)や両側の場合はあひる様歩行を呈します。

単純性股関節炎

3~8歳に発症し、外来では比較的多く見られます。たくさん遊んだ日や風邪をひいたあとに股関節(膝や太ももの場合もある)に痛みを生じ、跛行がみられます。これは一時的なもので安静を取ることで改善されます。

ペルテス病

大腿骨近位骨端が血行障害により壊死し、痛みを回避するための逃避性跛行がみられます。5~7歳の男児に多く見られます。壊死した骨端は自然修復します。

大腿骨頭すべり症

大腿骨近位骨端線において、骨頭が頚部に対して転位する疾患です。11歳前後の肥満の男児に多くみられます。がに股のような歩き方を呈します。

成人期


変形性股関節症

原因不明の1次性と先天性股関節脱臼などの基礎疾患に由来する二次性があります。逃避性跛行や筋力低下による動揺が見られます。また、脱臼による脚長差により上下に揺れる歩行を呈します。

特発性大腿骨頭壊死症

大量のステロイド投与やアルコール愛飲者に多く見られます。痛みのため逃避性跛行を呈します。

一過性大腿骨頭萎縮症

大腿骨頭から頚部にかけて、一過性に骨萎縮がみられます。50~60代男性や妊娠中の女性に多く見られます。股関節や殿部に痛みを生じるため逃避性跛行を呈します。

そのほか膝の関節疾患でも跛行が見られる場合があります。

 

痛みが生じているときや、歩き方が気になる方は当院へ一度ご相談下さい。

 

参考資料

篠原裕治(2015)「小児の内旋歩行(うちわ歩行)」, MB Orthop.28(4),pp15-18全日本病院出版会