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院内勉強会 「非特異的腰痛」

放射線技師の武田です。

8/13の院内勉強会に参加しました。非特異的腰痛と、疼痛発生の可能性で

ある椎間板、椎間関節、骨粗鬆症についてまとめたいと思います。

 

 

 

☆非特異的腰痛

 

腰痛を伴う腰椎疾患の85%を占めると言われ、原因が特定できないもの。

(ギックリ腰など)

疼痛発生部位の可能性として・・・

 ・椎間板—39%

 ・椎間関節—15~32%

 ・仙腸関節—13~18.5%

 

特異的腰痛とは?

 診察や画像検査で原因が特定できる腰痛。

 (椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症など)

 

 

 

◎椎間板の痛み

 

加齢により椎間板の水分量が低下し、固くなっていく(椎間板変性)

椎間板の外側にある繊維輪に傷が入りやすくなる(椎間板損傷)

椎間板損傷により炎症が起き、それによって神経栄養因子が出される

神経栄養因子により椎間板周囲の神経が活性化し、内部に入り込む

椎間板のストレスや腰椎不安定によって、内部に入り込んだ神経が障害

され、腰痛の原因となる

 

 

[画像診断]

 

○単純X線像

 腰椎の前後屈の機能撮影にて、腰椎不安定性を判断する。

 

○MRI

 椎間板+上下の椎体の変化(Modic change1~3)

  Modic change1

   ・T1強調画像:低信号

   ・T2強調画像:高信号

 

 

[治療]

 

腰椎の不安定性が原因であるため、前方固定術や後側方固定術(PLF)が治療

成績良好である。(前方固定術>PLF)

 

→直接椎間板操作をしなくても良い

 

 

 

◎椎間関節の痛み

 

○痛みの原因

 ・機械的な変形(椎間関節捻挫)

 ・関節症性変化

 ・関節包や滑膜の炎症   ・・・など

 

 

○症状

 ・神経症状を伴わない腰痛で、腰部進展にて疼痛増悪→後屈制限

 ・椎間関節部の圧痛

              ・・・など 

 

 

[画像診断]

腰部椎間関節症に特異的な所見はない。

 

CTにて椎間関節の変化が認められる事が多いが、それが痛みの原因か

どうかは不明である。

 

 

[治療]

 

特徴的な臨床症状、画像所見に乏しく、明確な判断基準もない。

椎間関節ブロックを行い、疼痛の改善が得られれば椎間関節症と

診断される。

 

 

 

◎骨粗鬆症の痛み

 

○はじめに

 ・骨粗鬆症患者の70%以上で腰痛を伴い、日常生活に制限を持つ。

 ・骨折や骨格変形に関係しない骨粗鬆症の病態自体による腰痛が指摘

  されている。

 

 

○腰痛の発生メカニズム

 

癌の骨転移、骨Paget病、骨粗鬆症では、骨吸収亢進状態を呈している。

骨吸収亢進に伴い、破骨細胞が産生する酸が増加して局所のpHが

低下する。

pH低下により、骨組織内の神経を興奮させて痛みを引き起こす。

 

 

○治療報告

 

 ・骨吸収抑制薬のビスフォスフォネートが腰痛を軽減させると報告

  されている。

 

 ・破骨細胞の指標である骨吸収マーカー(TRAP5b)の低下を認める。

 

 ・骨吸収マーカー値と腰痛の程度に有意な相関を認める。

 

   →ビスフォスフォネートによる骨吸収マーカーの低下度が大きい

    症例ほど高い腰痛改善率を認める。

 

 

※骨密度低下と腰痛発生には有意な相関を認めない。

 ↓

 骨密度が患者の現在の腰痛指標となる可能性は低い。