放射線技師の武田です。
5/26の院内勉強会に参加しました。腰部脊柱管狭窄症と、その原因の1つ
である腰椎変形すべり症についてまとめたいと思います。
☆腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管が狭小化し、内部の馬尾や神経根の圧迫障害を生じている状態。
退行変性による椎間板の変性、椎間関節の変形症、黄色靭帯の肥厚などが
原因となる。
[症状]
・腰痛 ・下肢痛 ・下肢シビレ ・排尿障害
・間欠跛行(神経性)
→馬尾型:脊柱管内の中心にある馬尾が圧迫
→神経根型:脊柱管内の外側にある神経根が圧迫
→混合型
間欠跛行の特徴として、姿勢を変える(前屈、しゃがみ込む)ことにより下肢に出現した症状が速やかに消失して再び歩き始めることができる。
→狭窄は前屈で軽減し、後屈で増強する
◎馬尾性間欠跛行
・両下肢、殿部、および会陰部のシビレが強い
・痛みはほとんどない
・膀胱直腸障害を伴っていることもある
◎神経根性間欠跛行
・下肢、殿部の疼痛
・片側性の疼痛を訴えることが多い
[画像診断]
○単純X線像
原因疾患である変形性脊柱症、分離すべり症、変性すべり症などの所見
が認められる。
○MRI
脊柱管における神経組織と周囲組織との相互関係を把握するのに有用。
脊柱管の狭窄状態と椎間板変性の程度を同時に示してくれる。
しかし、骨性要素の把握は困難である。
・T1強調画像
→椎体、椎間板、黄色靭帯、神経根、脂肪組織の評価に有用
・T2強調画像
→脳脊髄液が高信号を呈するため、脊髄造影のように硬膜管の形態が
描出され、圧迫の状態を評価できる
○CT
脊柱管の形態を知るのに最適である。
横断像により、椎間板の突出、椎間関節の変形、肥厚などの骨性要素の
把握に適する。
☆腰椎変性すべり症
椎間関節や椎間板の退行変性によるすべり症であり、腰痛患者の約3%が
これが原因であり、比較的頻度が高い。
女性に多く、年齢とともに頻度は増加する。好発部位はL4であり、L3、L5がそれに次ぐ。
[画像診断]
○単純X線像
側面像ですべりが認められる。
中間位ではすべりがなく、前屈位ですべりが認められる場合がある。
→前後屈の機能撮影が有用である