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院内勉強会 「変形性股関節症と腰痛」

こんにちは。理学療法士の佐野です。
今回の院内勉強会は「変形性股関節症と腰痛」をテーマに行われました。
どんな内容かをまとめていきたいと思います。

はじめに
 皆さん一度は「腰痛」を経験したことがあると思います。腰痛の原因として腰回りの筋肉や姿勢不良などが思い浮かぶと思いますが、股関節周囲が原因で起こる腰痛もあります。変形性股関節症に関しては中高年層で好発しやすく、腰痛や下肢痛、歩行障害など症状が似ている腰椎変性疾患と間違えられ誤診断されるケースが稀ではありません。適切な治療選択の為にも変形性股関節症と腰痛に関して深堀りしていきましょう。


①変形性股関節症と腰痛の関係について
 変形性股関節症による股関節の可動域制限や脚長差によって、隣接する腰椎や仙腸関節の負担増加が起こります。その結果、腰椎変性変化や脊椎骨盤アライメントの変化が起こり、腰痛を引き起こす要因の一つとして考えられています。腰痛や腰椎変性変化ばかりに目が行ってしまい大元である、変形性股関節症が見逃される場合があります。
 変形性股関節症患者を対象にした腰痛の自覚部位を調査では、腰部(肋骨弓から腸骨稜)53%、殿部36%(腸骨稜から殿溝の間)、腰部+殿部11%という結果も出ています。殿部痛の訴えが3割いる、このことから自覚症状の訴えにとらわれると、股関節疾患が由来の殿部痛なのを腰痛と捉えてしまう可能性があります。また変形性股関節症の人は仙腸関節変性の頻度が高いとも報告されています。仙腸関節変性においても腰殿部の疼痛の訴えがあるため症状の精査がより慎重なものになります。
 股関節疾患と腰椎疾患の相互関係を示すものとしてHIP-spine syndrome(ヒップスパイン症候群)というものがあります。


②HIP-spine syndrome(ヒップスパイン症候群)とは?
 HIP-spine syndromeは、脊椎と股関節には密接の関係にあり、どちらか一方に障害が起これば、もう一方にも障害が連鎖するという概念です。
脊椎から股関節へ障害が連鎖する場合もあれば、股関節から脊椎に障害が連鎖するというパターンもあります。これらには分類があり、病態によって4つに分けられます。
・simple hip-spine syndrome 股関節と脊椎両方に病変を認められ、どちらか一方に疼痛の主原因があるものを指す。

 例 変形性股関節症になり、骨盤前傾が起こり大腿骨頭への寛骨臼の前方被覆が強くなる
                     ↓
     そのパターンが継続することで腰椎の前弯が増強し、腰椎変性に繋がる
 
・complex hip-spine syndrome 股関節と脊椎両方に病変が認められるが、どちらか主原因なのかは不明なものを指します。どちらにも疼痛があり関連はあるもののどちらが先かは分からないものになります。
この場合は、痛みがどちらが先に出たかが重要になるが明確ではない場合もあります。

・secondary hip-spine syndrome 股関節と脊椎いずれかに病変があり、それが他方にも影響する状態のものを指します。simple hip-spine syndromeと違い、病変がどちらか一方に存在するものになります。

・misdiagnosed hip-spine syndrome 股関節と脊椎の主原因を誤診し、誤った治療を行った場合のものを指します。


③骨盤形態角(PI)について
 ここまで股関節と脊椎の関係性について書いてきましたが、骨盤との関係性も忘れてはいけません。骨盤形態角(PI)は股関節疾患、脊椎疾患の病態理解として重要とされているものです。PIは大腿骨頭中心と仙骨終板の中点を結ぶ線と仙骨終板の垂線がなす角度(図1)のことで、姿勢の影響を受けず10歳以降は生涯不変とされているものです。(ただし脱臼・骨頭破壊などで大腿骨頭が動くと変わる。)そのためこの角度の数値によって股関節優位なのか脊椎優位に動くのかを判別する指標になります。PIの正常の基準値は定められておらず、健常者でも35~85と範囲が大きくなっています。


  図1   骨盤形態角(PI)

 PIの数値が小さいほど寛骨臼前方開角が大きくなることで股関節が動きやすく、股関節優位の動きが主体となりやすく、数値が大きいほど寛骨臼前方開角が小さくなり日常生活は脊椎主体の動きとなるとされています。どちらが優位であってもいいというものではなく、疾患につながる可能性があります。
 

④まとめ
 今回は変形性股関節症と腰痛についての理解を深める勉強会となりました。生活していく中で「腰痛」を感じることは誰しもがあることだと思います。病院に行って腰の治療をしてもらったにも関わらず、症状がなかなか改善しないという人もいると思います。治療者として症状ばかりに目が行ってしまい、周りの関節の影響を考えないでいると、結果に結び付かないことがあると今回の勉強会を通して痛感しました。 
 特に、今回の変形性股関節症という疾患は見落とされやすいものと知ることができたので、結果が出ていないケースでは視野を広く持ち、様々な可能性を考え治療に臨みたいと思います。
 

 当院では丁寧かつ的確な治療を実施するため、色々なテーマで勉強会を開催しています。治療技術向上の為にも今後も自己研鑽を続けていきます。
 今回のブログを見てもしかしたら私も…と不安になることだったり、痛みなどで日常生活に影響が出ている場合にはぜひ早期の受診をお勧めします。
 
 

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