こんにちは、理学療法士の佐野です。3月18日に行われた院内勉強会に参加しました。
今回のテーマは「関節リウマチに対するリハビリテーション治療」「関節リウマチ患者における骨粗鬆症治療」ついてです。
●関節リウマチとは?
関節リウマチは何らかの原因により自分の免疫細胞が異常を起こし、自分自身を攻撃してしまうことにより、炎症や関節破壊が起こるものです。股関節や膝関節などの大きな関節より手関節や足関節といった小さい関節から症状が出始めることが多く男性よりも女性の方が発症しやすいとされており、日常生活での注意点もあります。
●関節リウマチの治療方法
関節リウマチの治療方法は薬物療法に加え、関節炎や関節破壊の有無によって介入方法が変わります。
薬物療法・・ステロイド薬の投与
・関節炎・関節破壊なし
→関節可動域訓練や筋力増強訓練、有酸素運動といった運動療法により病態の悪化が起きることなく筋力や心肺機能
を向上させることが可能とされています。
・関節炎・関節破壊あり
→関節保護指導や装具療法による固定が有効とされる。
●関節保護指導
関節リウマチは関節破壊が起こることにより病態が悪化しやすいため、関節炎が起きている状態での日常生活では関節の負担になるような行為を避けることが重要となります。代表的な例を紹介します。
左側の写真のように手で袋を持つようにしてしまうと袋の重さが指にかかってしまい、手指や手関節への負担が大きくなります。この場合は右の写真のように肘を曲げて腕にかけるようにして持つと負担が少なくなります。
●リハビリテーション治療について
関節リウマチでの筋力増強訓練では関節の負担を考慮し、等尺性運動(関節の動きを伴わない運動)が良いとされます。膝関節を例に挙げます。
上の写真のように膝を伸ばした状態を保持してもらい、膝周りの筋肉を鍛えることで、関節には負担かけることなく筋力の増強することができます。
●関節リウマチと骨粗鬆症
関節リウマチの合併症として挙げられるのが骨粗鬆症です。特に一関節部分ではなく全身性骨粗鬆症となるケースが多く日常生活での活動制限因子となりやすいのが特徴で、合併しやすい理由は以下の点が挙げられます。
①リウマチに関与する炎症性サイトカインにより破骨細胞の活性化、骨吸収の増加
②身体活動の低下による廃用による影響
③閉経後骨粗鬆症の影響
④老人性骨粗鬆症の影響
⑤ステロイド治療薬による影響
⑥低栄養・低体重
●骨粗鬆症に対する治療
関節リウマチに合併する骨粗鬆症の治療について明確なガイドラインは確立していませんが、関節リウマチの病態進行を防ぐことが骨粗鬆症の予防にもなるとされています。薬物療法では骨吸収を抑制するビオホスホネートが治療薬で使用されることが多いです。
●さいごに
今回は関節リウマチの病態、リハビリテーション治療と骨粗鬆症との関連について学び、まとめていきました。
関節リウマチの治療のためにどんな事に気を付けるべきなのか、生活していく中での注意点は何かについて理解を深めることができました。近年では研究が進むにつれ病態のコントロールもしやすくなって進行が進みにくくなっていますが、筋力増強や関節可動域に加えて日常生活での注意点を理解した上での関節への負担軽減が重要となります。
当院では、このような勉強会を定期的に実施しております。今後も患者様のために研鑽していきます。今後の投稿も楽しみにしていてください。