理学療法士の小幡です。
先日、行われました院内勉強会にて「Heberden結節の治療」について学びましたのでまとめていきたいと思います。
●はじめに
Heberden結節とは遠位指節間(distal interphalangeal;DIP)関節における手の変形性関節症(osteoarthritis;OA)です。
初期には疼痛はありますが経過とともに変形を残しつつも軽減することも多いため、日常診療においては対症療法を中心とした保存療法が行われることが多いです。しかし外見上の醜状変形だけでなく、疼痛や腫脹などの症状が遷延し、手の機能障害に伴い日常生活動作に支障をきたす症例も少なくありません。手のOAの発生は年齢との強い相関が報告され、文献におけるその有病率はKellgren-Lawrence分類の grade2以上では約90%と高く、grade3以上のsevere OAの有病率も約40%で、70歳以上では男女ともほぼ100%に手のOAはみられたと報告されています。
●Heberden結節の治療ガイドライン
Heberden結節に対する日本での明確な治療ガイドラインはなく、EULAR(European League Against Rheumatism)やACR(American College of Rheumatology), PANLAR(Pan-American League of Associations for Rheumatology)から手のOAに対するリコメンデーションが発表され、以下の10項目から構成されています。
(1)患者に応じた生活指導や補助具の使用などの教育とトレーニングは手のOA患者すべてに推奨される(エビデンスレベル1b)
(2)運動療法は疼痛の軽減と機能と筋力の改善に有用である(1a)
(3)母指手根中手(carpometacarpal;CM)関節症に対する装具は検討されるべきであり、長期間の使用が望ましい(1b)
(4)薬物療法として、非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs;NSAIDs)外用薬は安全性の面から第一選択である(1b)
(5)経口鎮痛薬、特にNSAIDsは疼痛の軽減に有効であるが、単期間最小効果量で使用する(1a)
(6)コンドロイチン硫酸ナトリウムは機能改善と疼痛軽減に有効であり、使用を検討してもよい(1b)
(7)ステロイド関節内注射はあまり推奨されない(1a)が、有痛性指節間関節症に対しては検討してもよい(1b)
(8)手のOAに対して、疾患修飾性抗リウマチ薬(disease modifying anti-rheumatic drugs;DMARDs)は使用するべきではない(1a)
(9)手術療法は、構造的異常を認め、他の治療で疼痛の改善が得られないときに検討すべきである(5)
(10)患者に応じて、長期間のフォローアップを行うべきである(5)
エビデンスレベルについては、1a:複数の無作為化比較試験,1b:無作為化比較試験,5:専門家の意見
●非薬物療法
1.患者教育
関節保護指導が中心であり、手指機能、疼痛の改善について高いエビデンスがあります。
2.エクササイズ
疼痛のない機能的な可動域の拡大、筋力の増大、関節安定性の維持を目的としてエクササイズを行います。手のエクササイズは症状を有する関節のみならず、すべての手指に対して行うことが望ましいです。

3.スプリント
スプリント療法は関節保護、局所炎症の減少、組織修復の促進などの作用により、炎症および疼痛の減弱効果が期待できるが、一方で変形の矯正や予防の効果は期待できないとされています。

4.テーピング
疼痛の特に強い症例や、よく使う作業に従事している症例では日中のテーピングも併せて行われたりしています。

●薬物療法
治療薬は疼痛などの症状改善を目的として使用されるsymptom modifying drugとOAを防ぐ目的として使用されるdisease modifying osteoarthritis(DMOADs)の2つに大別されますが、Heberden結節を含む手のOAに対して使用可能なDMOADsは日本にはなく、symptom modifying drugとしてNSAIDs外用薬が第一選択であり、経口NSAIDs,アセトアミノフェンは短期間の最小効果量での使用が望ましいとされています。また疼痛が著しい症例には、関節内ステロイド注射も検討します。
近年、代替療法として中年女性の腱鞘炎合併例の比較的初期の手のOAにエクオール(10㎎/日)の摂取が注目されています。
●手術療法
保存療法を行なっても疼痛が改善しない症例や変形が進行する症例もあり、日常生活動作に支障をきたすことも少なくありません。また粘液嚢腫が合併することも少なくなく、爪甲の変形を生じることや自然破裂を繰り返すこともあります。これらの症例では手術療法が選択されます。粘液嚢腫に対しては関節形成術、疼痛や変形などの関節障害に対しては関節固定術や人口関節置換術を行なったりしています。

●さいごに
今回の勉強会でHeberden結節や手のOAに対する治療について学びました。
手のOAに対するリハビリをすることはあまりありませんが、患者さんの気持ちに寄り添った対応ができるのではないかと思いました。