理学療法士の山形です。
今回の院内勉強会では「全身アライメントの計測」について学んだため報告します。
●はじめに
全身アライメントとは、背骨だけではなく体全体のバランスのことである。
全身アライメントの計測は、姿勢や形態を数値化することで、その特性、病態を評価することができる。各病態には、椎間板変性や骨折など様々な要因があり、外観だけでなく腰痛や下肢痛を伴いQOL(生活の質)を悪化させる原因となる。
そのため、背骨だけではなく骨盤・下肢を含めた全身アライメントの評価が重要である。
近年では、全身バランス、代償機構を理解することが治療成績の向上につながるとされている。
以下に評価をまとめる(今回の勉強会で特に取り上げたもののみ画像を添付しています)
●骨盤の評価
◇Pelvic incidence(PI)
X線側面像において、大腿骨頭中心-仙骨終板中心線の角度
特徴
- 個人固有の値
- 姿勢で変化しない
- 骨盤形態を表す
分類
- 45°以下:low PI
- 60°以上:high PI
脊柱アライメントの 基準となる重要指標である。

◇Sacral slope(SS)
仙骨終板と水平線の角度
◇Pelvic tilt(PT)
大腿骨頭中心と仙骨終板中心を結ぶ線と垂線の角度
・PI = SS + PTの関係性がある
・下肢代償などによる骨盤後傾により変化する値
・骨盤代償によりPTが増加
・SRS-Schwab分類ではPT < 20°が正常


●脊椎の評価
◇Lumbar lordosis(LL)
L1頭側終板〜仙骨終板の角度
・PI − LL < 10°を成人脊柱変形手術の目標とする

◇Thoracolumbar kyphosis(TLK)
T10頭側終板〜L2尾側終板の角度
・正常は約0°
・PIによって変化する
◇ Thoracic kyphosis(TK)
T5頭側終板〜T12尾側終板との角度と評価されるが、近年ではT1やT2の頭側終板とT12尾側終板とのなす角度として評価されることも増えている
・正常は20〜60°
・20°以下:hypokyphosis
・60°以上:hyperkyphosis
◇ T1 slope(TS)
T1頭側終板と水平線の角度
・40°以上でHRQOLスコアを悪化
◇ Cervical lordosis(CL)
C2終板〜C7尾側終板の角度
・正常は20〜35°
・思春期特発性側弯症ではCLの低値、後弯を呈することあり
●下肢の評価
◇Sacrofemoral angle(SFA)
大腿骨頭中心と仙骨終板中心を結んだ線と、大腿骨頭と膝関節中心を結んだ大腿骨軸とのなす角度
・正常は190〜200°
◇Knee angle(KA)
大腿骨軸と脛骨骨軸とのなす角度
・正常は0°〜軽度伸展
・胸腰椎後弯をSFAとKA増加で代償しすることでPT増加が生じる
●全身評価
◇C7 sagittal vertical axis(C7-SVA)
C7 plumb lineと仙骨終板後縁の距離
・正常は4cm以上
・重要な全身バランスの指標
◇ Global tilt(GT)
大腿骨中心と仙骨終板中心を結んだ線と、仙骨終板中心とC7椎体中心を結んだ線のなす角度
◇ T1 pelvic angle(TPA)
大腿骨中心と仙骨終板中心を結んだ線と、大腿骨中心とT1椎体中心を結んだ線のなす角度
・姿勢の影響を受けにくい
・グローバルアライメントの指標
・成人脊柱変形手術でのTPA目標は14°未満
●さいごに
今回の勉強会ではX線を用いた全身アライメントの評価を学びました。
腰の痛みを訴えているから腰だけをみる、膝の痛みを訴えているから膝だけをみる、という考え方だけでは一向に痛みの原因を見つけ出すことができないと改めて感じました。
体全体のバランス、つまり全身アライメントを考えて今後もリハビリを行っていきます!
次回の投稿もお楽しみに!