理学療法士の渡邊です。
今回の院内勉強会では「仙腸関節障害と疼痛」について学んだため報告します。
●はじめに
腰痛の多くの方が一度は経験する非常に身近な症状です。整形外科を受診される患者さんの中にも、「長く続く腰痛がなかなか改善しない」「検査では異常がないといわれたが痛みが続いている」といった悩みを抱えて来院される方が少なくありません。そのような腰痛の原因として考えられるのが「仙腸関節障害」になります。
●仙腸関節とは
仙腸関節は、背骨の一番下にある「仙骨」と、骨盤を構成する「腸骨」をつなぐ関節です。体幹と下肢を結ぶ重要な関節であり、立つ・歩く・座るといった日常動作の中で常に負荷がかかっています。可動域は非常に小さい関節ですが、わずかなずれや機能異常でも痛みを引き起こすことがあり、これが仙腸関節障害と呼ばれています。
●仙腸関節障害の症状
仙腸関節障害による痛みは、腰の下部からお尻、時には鼡径部にかけて現れることが多く、左右どちらか一側に出やすいのが特徴です。
長時間座っていると痛みが強くなる、立ち上がり動作で痛む、寝返りがつらいといった症状を訴える方も多く、日常生活の質を大きく低下させます。
一方で、X線検査やMRI検査では明らかな異常が見られないことも多く、「原因不明の腰痛」と診断されてしまうケースが少なくありません。
●仙腸関節障害の診断とポイント
仙腸関節障害の診断では、問診と身体診察が非常に重要です。患者様が自身で人差し指一本で痛みの部位を示す「ワンフィンガーテスト」は、仙腸関節障害を疑う手掛かりとなります。仙腸関節障害の患者様ではワンフィンガーテストで上後腸骨棘を指すことが多いです。
また、仙腸関節に負荷をかける徒手検査(sacroiliac joint shearテストなど)によって痛みが再現されるかどうかも重要な判断材料になります。
さらに、診断を確定する方法として仙腸関節ブロック注射があります。関節内に局所麻酔薬を注入し痛みが減少すれば、仙腸関節が痛みの原因である可能性が高いと判断できます。
●治療について
仙腸関節障害の治療は、まず保存療法が基本となります。
仙腸関節ブロック注射は診断目的だけでなく治療としても有効で、痛みの軽減によって動作が楽になる方も多くいらっしゃいます。
加えて、理学療法(運動療法・徒手療法)によって骨盤周囲の筋肉のバランスを整え、関節への負担を軽減します。必要に応じて骨盤ベルトを使用することで、関節の安定性を高めることもあります。
適切な診断と治療を行うことで、慢性的な腰痛が改善するケースも少なくありません。
●まとめ
仙腸関節障害は、これまで見逃されがちだった腰痛の原因の一つです。画像検査で異常がなくても、症状や身体所見から診断できる場合があります。「なかなか治らない腰痛」「原因が分からないといわれた腰痛」でお困りの方は、仙腸関節障害の可能性も考えてみることが大切です。
三好ヶ丘整形外科では、丁寧な診断と的確な評価を行い、患者様一人ひとりに合わせた治療を心掛けています。腰痛でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
次回の投稿もお楽しみに!