理学療法士の山形です。
今回の院内勉強会では「骨粗鬆症性椎体骨折の保存療法」について学んだため報告します。
●はじめに
骨粗鬆症性椎体骨折は骨粗鬆症性骨折の中で最も生じる頻度の高い骨折である。高齢化の進行に伴って増加しており、年間440万の椎体骨折が生じているとの推計もある。
椎体骨折を受傷した患者のうち、症状に気付くのは1/3であり、残り2/3は受傷したことに気付かない、いわゆる「いつの間にか骨折」と推定される報告がある。骨折したからといって必ずしも強い疼痛を伴うなどの症状が生じるわけではないため、日頃から体の動きに違和感など無いかセルフチェックが重要である。
●治療
骨粗鬆症性椎体骨折治療の目的
①適切な疼痛管理とADL・QOLの改善
②骨折部の癒合
③脊柱変形の防止
骨粗鬆症性椎体骨折の治療には、保存療法と手術療法がある。通常麻痺が生じていない骨折に対しては保存療法が行われる。保存療法として安静、装具治療、骨粗鬆症に対する薬物療法が行われる。
●安静
さまざまな研究を踏まえて現時点では椎体変形の予防の観点からは、受傷直後は容認可能であれば2週間程度の安静が望ましいが、長期の安静による感染症の発生やADL低下、認知機能の低下などの考えられるため、それ以上の期間の安静を強要する必要はない。
●装具治療
装具治療の目的は、動作を制限することによる疼痛の抑制、構造の安定化、椎体変形の進行を予防することである。患者に合わせて作製した硬性装具は、理論上は軟性装具と比較して骨折した椎体を支持・保護する機能が高いと考えられる。
局所の椎体変形の予防効果は装具装着期間において軟性装具より硬性装具が優れている。続発性椎体骨折の予防に関しては軟性装具より硬性装具が優れている可能性がある。
●薬物療法
抗骨粗鬆症薬は続発性椎体骨折のリスクを40~70%低減することが示されており、最近椎体骨折を受傷した患者には骨粗鬆症に対する薬物療法を開始、継続または変更することは重要である。
骨折部が骨癒合せず本来関節ではない部分が関節のような状態になっていることを「偽関節」という。
骨折後急性期のMRIにおけるT1強調のびまん性低信号型とT2強調のびまん性低信号型、もしくは液体貯留型の輝度変化を呈していることが48週時点での偽関節の独立した危険因子であった。偽関節の発生に関して硬性装具と軟性装具に有意差はなかった。
予後予測として背臥位でのレントゲン撮影にてクレフト(骨折部が開かないか)の確認も有用であるため、当院では疼痛が治まり次第(受傷1か月くらい)クレフトの確認を行っている。
●さいごに
骨粗鬆症性椎体骨折の保存療法についてごく簡単にまとめた。
患者さんから「骨折しているのに動いていいのか」、「コルセットはいつまでしないといけないのか」などの質問をリハビリ中に受けることは少なくないため、安静の度合いやコルセットの必要性について学んだ内容をしっかりと伝えていけたらと思う。
次回の投稿もお楽しみに!