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院内勉強会 「Osgood-Schlatter病の病態・診断と治療」「足部の骨端症の病態・診断と治療」

<はじめに>

こんにちは、理学療法士の秋葉です。4月13日に行われた院内勉強会に参加しました。今回のテーマは「Osgood-Schlatter病の病態・診断と治療」「足部の骨端症の病態・診断と治療」についてです。


〈テーマ1〉
Osgood Schlatter病とは?

Osgood Schlatter病(以下オスグッド病)は、脛骨粗面(膝関節下部の、脛(すね)と呼ばれる部分)に発症する骨端症です。
脛骨粗面には膝蓋腱(膝関節の伸展に使われる、大腿直筋という大きな筋肉の末端)が付着しています。
走る・飛ぶ・キックといったスポーツ動作などで膝関節の伸展動作が繰り返されると、膝蓋腱によって脛骨粗面が牽引され、表面が剥離されることで、オスグッド病を発症します。
骨の力が膝蓋腱(靭帯)の力よりも弱い場合に発症することが多いため、まだ骨が成熟していない小児期に多くみられます。(男児では12歳前後、女児では10歳前後)


オスグッド病に対する治療
一般的には保存的治療が推奨されています。
オスグッド病は運動時に疼痛を自覚することが最も多いですが、進行すると歩行時にも痛みを感じるようになります。
このオスグッド病の保存的治療のポイントは、
①安静にすること ②筋肉の柔軟性を高めること(ストレッチ)③体幹機能の向上を図り、姿勢を修正すること(上半身のトレーニング) です。

①安静
 症状が軽度であっても、まずはスポーツ活動の中止が推奨されます。しかし、このスポーツ禁止期間を長くとりすぎることはお勧めではありません。(コンディショニングの低下や、復帰後の再発・他の障害のリスクが増加するといわれています。)
一般的には2週間程度の安静が指示されることが多く、この間はウォーキングや平地での軽負荷での自転車運動などにとどめておくことが重要です。
(日常生活での疼痛の改善具合により、段階的なスポーツ復帰や安静期間の延長を検討していきます。)

②筋肉の柔軟性を高める
オスグッド病の治療において、下肢の柔軟性改善は非常に重要視されます。
大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)は脛骨粗面を牽引する主な力源となるため、この部分の柔軟性低下は危険因子としてよく知られています。
さらに、足首の動きに関連する下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)が硬いと、足首の柔らかい動きが制限され、うまく荷重時の衝撃を吸収できなくなり、膝関節にさらに負担がかかることになります。
(ジャンプして着地する際、足首が柔らかい方が、ふわっとした着地が可能になる、といったイメージです。)
このように、一見膝関節とは直接関係なさそうな部分のケアも大切になってきます。

③体幹機能の向上をはかり、姿勢を修正する
こちらも膝関節の痛みには直接関係なさそうにみえますが、骨や筋肉といった、解剖学的な体のつながりを意識したときに、非常に重要な着眼点になってきます。。
体幹筋力の低下により骨盤の過度な前傾/後傾が生じている場合、大腿前面の筋肉(膝関節の伸展に関与します)が短縮/牽引されることになり、結果膝関節の負担を増加させることにつながっているのです。
そのため、体幹筋群に対しても適切にリハビリテーションを実施し、大腿筋群に負担のかかる姿勢を修正していく必要があります。

☆保存的治療が奏功しない場合は、観血的治療(手術)も検討されます。

☆オスグッド病は、再発予防も大変重要です。
スポーツ後の正しいアイシングや柔軟性・筋力の改善に加え、体に負担のかかる間違ったスポーツ動作の修正等も必要になります。


〈テーマ2〉
足部の骨端症

続いて、足部に多くみられる骨端症についてです。
骨端症は、血流障害や繰り返される微小外傷などによって生じるといわれています。体の中心から離れている足部は、特に血流が低下しやすいです。
今回はそんな足部に起こりやすい骨端症についていくつかまとめていきます。

〈Sever病〉踵部隆起の骨端症
☆学童期のスポーツ選手に多くみられる
☆運動時に踵(かかと)に痛みを感じ、踵に圧痛(押したときの痛み)を認める
☆治療方法:運動の制限や中止・足底挿板による補高・ふくらはぎなど下肢のストレッチなど

〈第1Köhler病〉舟状骨の無腐性壊死
☆3-7歳ごろの小児に発症(女児<男児)
☆舟状骨部の圧痛・軽度の腫脹を認める
☆治療方法:ギプス固定や免荷(体重をかけない)・足底挿板の使用・激しい運動を避ける

〈Freiberg病〉中足骨骨頭に無腐性壊死をおこす骨端症
☆10歳台の女子に好発
☆MTP関節付近の腫脹 踏み返し動作時の疼痛を認める
☆治療方法:運動/足趾の動きの制限・足底装具の使用・ステロイド薬注射・手術療法



さいごに
今回は「Osgood-Schlatter病の病態・診断と治療」「足部の骨端症の病態・診断と治療」
について理解を深めました。
骨端症は、運動を制限し安静にしなければならない場合が多いです。
スポーツ活動を日常的に行っている方にとって、運動を制限する、というのは非常に難しく、また辛いものであると思います。
少しでも早く治療を終えてスポーツ復帰をめざせるよう、理学療法でお手伝いができたらと思います。


当院では、このような勉強会を定期的に実施しております。今後も投稿を楽しみにしていてください。