●はじめに
こんにちは、理学療法士の小幡です。
先日、「鎖骨骨幹部・遠位端骨折」について院内勉強会が行われました。
鎖骨骨折の治療・手術の方法など学びましたので、まとめていきたいと思います。
●鎖骨骨折について
鎖骨骨折は、全骨折の約10%に発症します。比較的高エネルギー外傷により生じることが多いので、青壮年期に好発すると考えられてきましたが、近年アクティブな高齢者も増加してきているので幅広い年齢層に生じる得る骨折です。また鎖骨は血流が豊富で、多少の転移があっても骨癒合が得られやすいとされているため、保存療法も有力な選択肢となります。
●保存療法
鎖骨骨幹部骨折を生じた場合、いったん良好な整復位を得られたとしても、その後再転位していくことが多いので、クラピクルバンドを代表とする装具を装着し、転位を最小限にしていきます。
●手術療法
近年の社会事情により保存治療による長期間の身体的拘束が困難な場合や、患者自身が早期に社会復帰を希望する場合に手術治療は有用な手段と成り得ます。
また肉体労働をする方や多発骨折・外傷症例において適応していくことになってきます。
1.プレート固定法(従来法)高い初期固定により、術後安静度の制限が比較的低い方法
2. MIPO(minimally invasive plate osteosynthesis)骨折部を直接展開することなく小皮切よりプレートを挿入・固定する方法
●鎖骨骨幹部骨折の後療法(リハビリなど)
術後は三角巾固定を行い、患肢の保護・安静を確保します。翌日より肩甲上腕関節を積極的に動かしますが、上肢挙上90°以上は禁止とし、患肢への荷重は控えてもらいます。
術後1か月前後でX線もしくはCTにて骨癒合の傾向が認められれば90°以上の挙上を許可し、完全に骨癒合が確認できた時点で上肢荷重を含めたすべての動作を解禁していきます。
ちなみに、ランニングなど上肢の動きが最小限のスポーツ活動は抜糸終了後に許可されています。もちろんですが、いずれの動作・活動も痛みを伴わないことが許可の前提になります。
●鎖骨遠位端骨折
この骨折の治療にあたって、骨片の転位および烏口鎖骨靭帯の状態を把握し、骨折部の不安定性を評価することが重要になります。病態把握を怠ると、誤って保存療法を選択してしまい偽関節となったり、手術療法において安定した整復を行えないことになってしまいます。
●鎖骨遠位端骨折の分類
1.Neer分類
2.Craing-田久保分類
Craing-田久保分類の内、TypeⅡa ,Ⅱb, Ⅴ,Ⅵにおいては、不安定性を呈するため手術を考慮していく必要があります。
●鎖骨遠位端骨折の後療法(リハビリ)
術翌日から術後1週まで仰臥位で肩甲骨を固定して挙上・外転を90°以下に制限した中での他動運動を開始します。術後3週からは自動運動を開始し、日常生活動作を許可しています。スポーツや重労働への復帰は、骨癒合と筋力の改善が得られる術後3ヶ月を目安にしています。
●最後に
鎖骨骨折の患者様をリハビリする機会は少ないですが、今回のような勉強会で学んだことを治療などに活かしていきたいと思います。
当院では、このような勉強会を定期的に実施しております。今後も患者様のために研鑽していきます。今後の投稿も楽しみにしていてください。