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クリニックブログ BLOG

院内勉強会「肉離れの診かた」

●はじめに

こんにちは、理学療法士の牧野です。今回の院内勉強会では「肉離れの診かた」について学んだので報告します。

勉強会の様子です。超音波検査の方法を教えていただきました。



ふくらはぎの筋肉をエコーで見ています。簡易的に筋肉の状態を見ることができます。





●肉離れについて


<肉離れとは>
 スポーツ選手によく生じますが、普段運動をしない中高年の方にも起こります。肉離れとは筋肉の損傷のことで、筋肉が伸ばされながら収縮するときに起こります。


<起こりやすいスポーツ>
 陸上競技、サッカー、フェンシングなどジャンプや急な方向転換を伴うスポーツに多くみられます。


<起こりやすい部分>
 最も多いのは大腿二頭筋(太ももの裏)で全体の4割を占めます。下腿三頭筋(ふくらはぎ)、半膜様筋(太ももの裏)、大腿四頭筋(太ももの前)、内転筋(太ももの内側)に多くみられ、下肢の筋が全体の9割です。



●診断

<問診>
 受傷時の状況や感覚を聴取し、肉離れの重症度を推定します。
受傷後の経過や運動続行の有無、歩行状態、痛みのピークなども重要です。
 

<身体所見>
 患部の腫れ、皮下出血あるいは陥凹(くぼみ)の有無を確認します。
圧痛の部位、痛みの程度、損傷した筋肉を動かすことが可能か、ストレッチ痛があるかどうかも把握します。


<画像所見>
 MRIにて診断します。肉離れの損傷部位や損傷度によって3つに分類されます。

Ⅰ型(軽度):筋線維部損傷(腱、筋膜に損傷がなく、筋肉内に出血を認める)
Ⅱ型(中等度):腱膜部損傷(筋腱移行部に損傷は認めるが、断裂はない)
Ⅲ型(重度):筋腱付着部損傷(骨への付着部の断裂を認める)
 
 以上の3つに分類され、それぞれ治療方法が異なります。

(左からⅠ,Ⅱ,Ⅲ型 出血部位が白く見える)


●予後

肉離れが生じてから受傷前の状態に復帰するまでの平均期間
Ⅰ型・・・1~2週
Ⅱ型・・・6週
Ⅲ型・・・10週


●治療

肉離れの損傷程度(Ⅰ~Ⅲ型)によって治療が異なります。

まずは、受傷時のストレッチ痛の有無を確認します。明らかなストレッチ痛がない場合はⅠ型と判断し、ストレッチを許可しリハビリを行います。

ストレッチ痛がある場合は早急にMRI行い、Ⅱ・Ⅲ型の判別を行います。Ⅱ・Ⅲ型どちらもストレッチは禁止とします。Ⅲ型と判断された場合は必要に応じて手術を行います。リハビリはストレッチ痛を目安にして開始していきます。




肉離れが生じた場合は、まずは損傷の程度に関わらずRICE処置を行います。

⚫︎Rest(安静)     
 必要に応じて固定を行います。
⚫︎Icing(冷却)     
 氷や水などで患部を冷やすことで、腫れや出血を抑えます。
⚫︎Compression(圧迫)  
 包帯やテープを用いて圧迫することで腫れを抑えます。
⚫︎Elevation(挙上)   
 心臓より高い位置に保ち、腫れを抑えます。

+α
私が調べたところ現在では,

POLICE処置が世界のスタンダードとなってきているようです。


⚫︎Protection(保護)
 装具やシーネなどで損傷部分を保護します。
⚫︎Optimal Loading(最適な負荷) 
 早期に最適な負荷をかけることにより,
組織修復を促します。
⚫︎Ice(冷却)
 損傷部位の痛みの緩和などを目的に行います。
⚫︎Compression(圧迫)
 出血や腫れを抑えます。

⚫︎Elevation(挙上)
 腫れや浮腫みを抑えます。


「えっ。怪我したすぐは安静じゃないの?!」
と思うかもしれませんが,実は怪我した直後でも最適な負荷をかけることで
組織修復を図るタンパク質が刺激されて治りが早まるのです。もちろん,どれくらいの負荷が良いかは医師や我々PTの指導のもと行う必要がありますし,著しい変形や頭部・首などの損傷の場合はある程度の安静が必要となります。スポーツ等で怪我された際には早急にお近くの整形外科にかかられることをお勧めします。


●さいごに

今回の勉強会では、肉離れのについて学びました。当院では、このような勉強会を定期的に実施しております。今後も患者様のために研鑽していきます。今後の投稿も楽しみにしていてください。