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6/4院内勉強会「手根管症候群の超音波診断、保存療法とリハビリテーション」

●はじめに

こんにちは。

理学療法士の牧野です。

6月4日に院内勉強会を開催しました。

今回のテーマは「手根管症候群の超音波診断、保存療法とリハビリテーション」です。

実際に超音波診断(エコー)を用いて神経の位置や動きの見かたを教えていただきました。

 

●手根管症候群とは?

手根管とは手のひらにある骨と靱帯で囲まれたトンネルのことを言います。手根管には神経(正中神経)が通っており、手根管内の内圧が上昇し神経が圧迫されると、初期には人差し指、中指に痺れや痛みが生じ、進行につれて感覚低下や母指球(親指の付け根)の萎縮などを生じます。

原因としては多くは原因不明であると言われています。手根管内圧を上昇させる要因としては日常生活で手の使い過ぎによる腱の炎症、手の浮腫、関節リウマチや糖尿病、加齢に伴う靱帯の肥厚・骨の変形などが挙げられます。

 

●手根管症候群の超音波診断

手根管症候群の画像診断としてはMRIと超音波検査(エコー)があります。

超音波診断は病態を視覚的に把握することが可能です。MRIと異なり非侵襲性、即時性に優れているという特徴があります。

 

超音波診断では①正中神経の断面積指の運動に伴う神経の位置と形状の変化を見ます。

 

正中神経の断面積

健常人の正中神経の断面積の平均が10㎟であるのに対し、手根管症候群患者では16.9㎟と増大する所見が見られます。

また、正中神経の内部が黒く描写されます。

(※左側が正常、右側が手根管患者 黄色の点線内が神経)

 

②指の運動に伴う神経の位置と形状の変化

健常人の正中神経の位置・形状は指の運動に伴ってスムースに左右へ移動しますが、手根管症候群患者では移動性が低下します。

 

●手根管症候群に対する保存療法とリハビリテーション

・装具療法:装具により手関節を固定することで手根管内の浮腫、炎症の軽減を図ります。主に夜間に使用します。

・ステロイド注射:手根管内の炎症や浮腫を改善するために腱の周囲に注射を行います。

・内服治療

・アイシング:炎症を抑えるために20℃程度の水に10~20分手をつけます。

・リハビリテーション:腱や神経の動きを良くするために指の運動やストレッチを行います。

指の動きによって使う筋肉が違うため、下の図のように様々な方法で筋肉を動かすことで手首周りの腱や神経の動きを改善することができます。

 

●さいごに

今回は実際にエコーで神経の動きや位置・大きさを見ることができ大変勉強になりました。手に痺れや痛みが出る原因は手根管症候群のみでなく、首や肩に原因があることもあります。エコーを用いることで診察室で短時間で見ることができ、原因の特定にも有用だと感じました。

当院では、このような勉強会を定期的に行なっています。今後も患者様のために研鑽していきます。