●はじめに
今回の院内勉強では「急性頚部痛の鑑別とエコーガイド下注射の適応」
について参加させていただきましたので報告します。
頚部痛を有する方は多く、腰部痛と並ぶ国民病の1つと言われています。
当院でも寝違え、むちうち、肩こりの増悪などにより受診される方も多く
見受けられます。
●急性頚部痛の鑑別診断
治療をすすめるにあたり、病態の鑑別がとても重要になります。
急性頚部痛の鑑別診断には、まれではありますが、見逃すことで
死の危険性が高まるものもあるため見極めなければなりません。
具体的なポイントとして、5つ挙げられます。
・発熱の有無
・症状の左右差
・突然発症
・可動域制限の有無
・神経症状の有無
表1.レッドフラッグ 表2.鑑別疾患とその特徴
〇肩こり
自覚症状の多くは頚部であり、その原因は筋性肩こり、頚神経根障害、
胆嚢炎、狭窄症など多岐にわたる。
〇むちうち
交通事故など外傷後に生じた急性頚部痛であり、外傷性頚部捻挫と
表現されることもある。頚長筋、頭長筋など筋膜性疼痛に自律神経症状が
合併することもある。
〇寝違え
何らかの原因によって起床時に頚部および肩甲帯部に疼痛を覚え頚椎運動が
制限された状態。その原因は、急性頚部痛以外にも椎骨脳底動脈解離や
くも膜下出血など緊急疾患、石灰化性頚長筋腱炎などの炎症性疾患を鑑別する必要がある。
●エコーガイド下注射とは...
近年の研究により超音波画像上、白く厚く重なった筋膜やそれ以外にも、
腱や靭帯、脂肪などの結合組織(Fascia:ファシア)にトリガーポイントが
発生することがわかってきました。
白く重積した異常なFasciaは、痛みの原因となるだけでなく、Fascia自体の
伸張性や周囲組織との滑走性が低下している傾向にあります。
それらをエコーを用いて、確認しそこへ直接薬液を注入することによって、
この異常なFasciaを解消する治療法です。痛みが低下するだけでなく、
伸長性や関節可動域の改善が期待できます。
今回の勉強会開催4日前に寝違えを生じたスタッフが居たため実際の所見
から院長診断により頚部後屈と同側回旋で痛みがある事、肩挙上で症状が
変化すること、肩甲骨内上角の圧痛があることから肩甲下筋/僧帽筋部の
適応と合致したためエコーガイド下注射を行いその様子を体感し学ばせて
頂きました。
●さいごに
患者様の中には「肩こり、寝違えなどで病院に行ってもいいのか」と考え
症状が不変・増悪してから来院される方が見受けられます。頚部痛に
悩まされる方は、多くその症状は様々です。生活環境、姿勢を変化させる
ことで改善される場合もあります。身体の不調を感じたらお早めにお近くの
病院などへご相談されると良いかと思います。
当院では、患者様一人一人に適切な対応を行い、早期改善を図れるように
このような勉強会を定期的に行なっています。今後も患者様のために研鑽
していきます。
スタッフ一同、身体管理には十分注意していきます。
次回の投稿をお楽しみに!