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5/14 院内勉強会「宇宙飛行士の運動器変化」「宇宙医学研究による平衡機能科学に学ぶ転倒予防」

●はじめに

こんにちは。

理学療法士の後藤です。

5月14日に院内勉強会を開催しました。

 

今回のテーマは「宇宙医学から学ぶロコモ予防」です。

最近、宇宙飛行士の野口聡一さんが5ヶ月間の宇宙滞在から帰ってきました。地上と宇宙での違いは決定的に違います。その違いをより詳しくまたそこから学べることを学んでいきましょう。

 

 

●宇宙医学

人類初の有人宇宙飛行は1961年のロシアのガガーリンに始まり,今日までに550人以上が微小重力での生活を体験しました。

2000年より国際宇宙ステーション(International Space Station;ISS)への長期宇宙滞在が始まり,宇宙航空研究開発機能(JAXA)はNASAやロシアのパートナーとしてISSの国際運用や宇宙医学実験に参加し,有人宇宙技術の経験と知識を積み重ねてきました。

宇宙における運動器変化と平衡機能について紹介する。

 

●宇宙飛行士の運動器変化

宇宙飛行士の骨量減少は,骨粗鬆症の約10倍の速さで減少し,骨折や尿路結石のリスクが高まります。

このリスクを減少する目的で,予防的ビスホスホネート投与に関する宇宙医学研究が行われています。

宇宙飛行では筋萎縮・筋力低下と心肺機能低下が生じてしまします。

宇宙飛行士は有酸素運動と筋トレからなる約2時間の運動プログラムを実施しています。

宇宙飛行では,身長は1週間で4〜7cm伸び,半数の宇宙飛行士は腰痛を経験します。

宇宙飛行士には,椎間板ヘルニアの発生頻度が高いです。

宇宙飛行中の整形外科疾患として,手の擦過傷や打撲が最も多く,腰部や肩の損傷がこれに続きます。

 

●宇宙医学研究による平衡機能科学に学ぶ転倒予防

ヒトが微小重力環境に滞在すると様々な生体変化がもたらされるが、平衡バランス機能の変化も大きいです。

微小重力環境では内耳平衡器への重力入力がなくなるため、平衡バランスの統合に破綻をきたすとともに機能低下を生じることが知られています。

やがてヒトはその機能低下状態に適応するが、その状況はあたかも加齢の促成栽培に相当します。

そのような機能低下すなわち地上医学でいえば転倒リスクなどの危惧に対処するには、筋力の維持も肝要であるが同時に内側前庭脊髄路と外側前庭脊髄路の双方に負荷を与えて平衡バランス機能を維持・向上させる必要がありました。

加齢とともにあたかも癌のように病態が悪化していく加齢性平衡バランス障害に対しては、たゆみない負荷対策を講じ続けることが必要でした。

 

●さいごに

宇宙空間での身体変化が加齢に伴う変化に酷似しています。その変化がどのように起き、どのような影響を地上で起こしているのか。また加齢では徐々に起こるものが急激に起こった際にはその変化が顕著にわかりやすく発現するため大変参考になりました。


当院では、このような勉強会を定期的に行なっています。今後も患者様のために研鑽していきます。