●はじめに

今回の院内勉強会では「骨粗鬆症および骨粗鬆症性椎体骨折の診断、脊柱変形による障害」について参加させていただきましたので報告します。

 

●骨粗鬆症

「骨粗鬆症は、低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である。」と定義されています。

日本における骨粗鬆症の有病率は約1280万人と推計されています。

割合としては男性300万人、女性980万人と女性の比率が高くなっています。また女性の中でも閉経後の小柄な人に多くみられます。

 

骨粗鬆症の種類

原発性骨粗鬆症:原因…加齢、閉経 病気が原因ではない!

続発性骨粗鬆症:原因…内分泌性(骨の代謝が亢進する副甲状腺機能亢進症など)、薬物(ステロイド薬の多量使用など)、栄養性、不動性、先天性、その他(関節リウマチなどの消耗性疾患や糖尿病、慢性腎臓病など)

 

原発性骨粗鬆症の診断

まず立位からの転倒などの軽微な外傷により容易に引き起こされる脆弱性骨折の中で椎体骨折(背骨の骨折)・大腿骨近位部骨折(太ももの骨の骨折)が既往にある時点で原発性骨粗鬆症の診断となります

それ以外の脆弱性骨折を有すれば骨密度がYAM(young adult mean:若年成人平均値、腰椎は20~44歳、大腿骨は20~29歳の平均)の80%未満で、脆弱性骨折がない場合は骨密度がYAMの70%以下または-2.5SD以下で原発性骨粗鬆症と診断されます。

 

●骨粗鬆症性骨折

骨粗鬆症性骨折とは骨粗鬆症により骨強度(70%が骨密度、30%が骨質)の低下が要因となる脆弱性骨折です。

骨粗鬆症性骨折の中でも椎体骨折は最も発生頻度は高いですが、近年ではやや減少傾向です。骨粗鬆症性椎体骨折は、必ずしも転倒などの外傷歴がないことがあり高齢者の急性腰部痛は本骨折を疑います。痛みとしては骨折部ではなく殿部に訴えることも多く前屈より反る動きで、また寝返りや起き上がりなどの体動時痛が顕著です。

大腿骨近位部骨折は骨粗鬆症治療が普及しつつある現在でも増加傾向にあります。因みに大腿骨近位部骨折の5年生存率は45.6%とガンの5年生存率より約10%低くなっています

上の図で、左では背中を丸めた姿勢で骨折部は閉じています。右は背臥位で背筋が伸びている姿勢で、骨折部が開いた不安定な状態となり痛みを伴うことが多いです。

 

骨粗鬆症性骨折は、生活機能や生活の質(以下QOL:Quality of Life)を著しく低下させるだけではなく、最近では骨折の有無に関わらず生命予後を有意に悪化させるとの報告もあり、骨粗鬆症の予防・治療がより重要となっています。

 

●脊柱変形による障害

骨粗鬆症性椎体骨折を呈すると脊柱は屈曲変形(前かがみの変形)を伴うことが多いです。骨粗鬆症による脊柱変形を下図に示します。

 

骨粗鬆症患者では、脊柱後弯(後ろに凸となる彎曲)が増強すると、慢性腰部痛に加え、家事や移動が困難になるなどの多くの日常生活動作が障害されます。さらに、体形の変化による劣等感や不健康感が伴うことで、外出機会の減少といった活動性の低下が起こりQOLは低下します。

 

脊柱後弯変形が生じると矢状面(横から見た面)バランスの異常により転倒しやすくなります。脊柱変形の中で胸椎(胸の高さの背骨)の後弯が大きい人に比べて腰椎の後弯が大きい人の方が脊柱は前方に傾きやすく、立位時の重心動揺が大きくなりやすいです。

 

脊柱後弯変形は、前傾した姿勢をとることとなるため、胸や腹部の容積を減少させるため、さまざまな内臓の障害を引き起こします。胸椎の後弯が増強すれば肺を圧迫し呼吸器障害が生じる可能性が、腰椎の後弯が増強すれば腹部が圧迫され、胃食道逆流症などの消化器症状が生じやすくなります。

 

●さいごに

現在、骨粗鬆症の治療を受けている患者数は1280万人いる中で200万人にも満たないそうです。骨粗鬆症は骨密度が改善するだけでも骨折のリスクは軽減できます。今このブログを読んでいて骨密度を測ったことがない方は、当院で1度検査を行ってみてはいかがでしょうか。

当院はこのような勉強会(体操教室)を定期的に行なっています。今後も患者様のために研鑽していきます。次回の投稿をお楽しみに!