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クリニックブログ BLOG

院内勉強会「成長期・成人野球肘」

院内勉強会を行ったので報告します。
今回は、「成長期・成人野球肘の診断と治療
について」です。

<成長期の野球肘について>
○肘関節の骨端核の成長
肘関節には 内側:内側上顆と滑車
外側:小頭、外側上顆と橈骨頭
後方:肘頭
の6つの骨端核が存在する。
閉鎖時期は14~17歳頃に集中している。
骨端線の閉鎖が非投球側よりも投球側の方が早く、
成長期の障害は、15歳以下の小学生、中学生にみられる。

○障害の実態
小学1~2年生から野球を始める選手も多いが、
4年生に相当する10歳頃から障害が増え始める。
内側上顆障害が最も多く、離断性骨軟骨炎と呼ばれる小頭障害が続く

●内側上顆障害
診断
主訴:疼痛が多い。
「ある一球での急激な激痛」
「投球数とともに増してくる痛み」
「投球開始は痛むが、徐々に軽減する痛み」
「全力投球や遠投のみで生じる痛み」  など様々であることが多い。
身体所見:可動域制限‐伸展のみの場合が多く、左右差で比較する。
圧痛‐内側上顆の前下端に多いが、周辺組織の検査も重要。
外反ストレス痛‐投球動作で加わるストレスを模倣し検査。
画像診断:単純X線で45度屈曲位正面像が有用。

治療
負担軽減による保存療法が優先的に選択される。
自覚症状が消失するまで投球禁止。
練習では、バッティング、捕球、走塁は許可する。
また、投球中止時には、フォームチェックや
コンディション調整等の再発予防を行う。

2~3週で痛みが消失することが多い。
「可動域制限→圧痛→外反ストレス痛」の順に消失することが多い。

●小頭障害
診断
症状に乏しいことが特徴である。
身体所見:腕橈関節の圧痛、外反ストレス時の外側痛
※病気が進行するまで所見を有さない症例も多い。
画像診断:内側上顆障害と同様。
     透亮像が特徴的な初期
     離断増の進行期
     遊離体を有する終末期  に分類される。
治療
初期、進行期では保存療法。
自然修復能力を阻害する外力の除去が重要。
バッティングや腕立て、鞄の所持まで禁止し、
箸・鉛筆などなるもの以外は持たないように説明。
初期の90%、進行期の53%程度が修復することが多い。
終末期に近い進行期では、最低でも1年かかることも多い。

終末期では手術が選択されることが多い。
明確な指標は無いが、骨端線の閉鎖、母床部の硬化像と
修復が3か月以上停止していることがあげられる。
術後の対応も重要で、2~3か月は復帰を控えるべきであり、
日常生活は問題なく可能となる。

<成人の野球肘について>
投球動作による外反ストレスは最大64Nmになる。
このストレスに対し、内側側副靭帯が54%、骨性支持機構が33%
貢献すると言われており、非常に大きな力が肘に加わる事になる。

身体所見:圧痛‐靭帯付着部の上腕骨側と尺骨側、
靭帯実質へ正確にアプローチが必要。
     疼痛誘発テスト‐外反・過伸展ストレスにより検査
    外反動揺性‐X線や超音波検査による内側関節裂隙の開大を検査。
画像診断:骨変化や骨片、骨形態変化を評価する。

治療
基本的には、他の野球肘と同様に保存療法であるが、一定期間の
理学療法の介入による全身的な運動機能評価に基づいたリハビリ
にてパフォーマンスの向上、再発予防を行うことも不可欠である。