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院内勉強会「ロコモティブシンドロームとサルコペニア」

今回の院内勉強会ではロコモティブシンドロームとサルコペニア
について学んだため報告します。

○はじめに

 ロコモティブシンドロームとサルコペニアはともに
 運動器(身体運動に関わる骨、筋肉、関節神経などの総称)の問題である。

○ロコモティブシンドローム(運動器症候群)について
 
・概念
 ロコモティブシンドロームは
 運動器の障害によって「立つ」、「歩く」という移動機能が低下した状態をいう。
 進行すると介護が必要となるリスクが高まる。


・疫学
 ロコモティブシンドロームの初期段階で
 移動機能の低下が始まっているロコモ1の有病率
 一般成人・・・約70%(男性・・・約68%、女性・・・約71%)
 40歳未満・・・20%超
 加齢とともに直線的に増加傾向にある。
 
 移動機能の低下が進行しているロコモ2の有病率
 一般成人・・・約25%(男性・・・約23%、女性・・・約27%)
 70歳、80歳以上で急激に増加傾向にある。

 ロコモティブシンドロームの症状として疼痛が重要とされている。
 膝痛   ・・・約32%(男性・・・約28%、女性・・・約35%)
 腰痛   ・・・約38%(男性・・・約34%、女性・・・約39%)
 膝痛+腰痛・・・約12%(男性・・・約11%、女性・・・約13%)

 転倒は重要な移動機能障害である。男女ともに
 歩行速度の低下は転倒のリスクの要因とされている。
 女性においては膝の痛みも転倒のリスクとされているため予防が必要である。


・評価方法

 立ち上がりテスト
 2ステップテスト
 ロコモ25 
 
 テストの詳細は次回の院内勉強会のブログで記載を予定しています。


○サルコペニアについて
 
・概念
 サルコペニアは
 加齢、低活動、低栄養、疾患により進行性、全身性に認める
 骨格筋の量の低下、筋力や身体機能(歩行など)が低下する状態
を言う。
 生活の質の低下、障害などの有害な転帰に陥るリスクが高く
 要介護に移行する要因である。
 

・疫学
 日本の65歳以上における有病率は男性約14%、女性約12%である。
 年齢別でみると60代では有病率は低く、75歳以降に増加傾向があり
 85歳以上の女性で増加は顕著である。

 サルコペニアは対象者によって3種類のタイプに分類できる。
 ①中年女性のサルコペニア肥満
 ②ロコモティブシンドロームのサルコペニア
 ③障害者のサルコペニア

 
・評価方法
 筋量の評価
 DXA  男性7.0kg/㎡、女性5.4kg/㎡
   BIA   男性7.0kg/㎡、女性5.7kg/㎡
 
 筋力の評価
 握力  男性26kg未満、女性18kg未満

 身体機能の評価
 歩行速度  0.8m/秒未満
   
○ロコモティブシンドローム、サルコペニアの対処法

運動
 運動を行うことは座りがちな生活といった低活動による身体機能への
 負の影響を最小にし活動的な生活の獲得に重要である。
 一般に軽症から中等症の障害に対して効果がみられ
 重症例では効果を得られることは難しいため早期介入が重要である。

・栄養
 栄養の補充、特にアミノ酸ビタミンDが重要とされている。
 
 アミノ酸を運動指導時に補充することで下肢の筋量、筋力の上昇効果が
 示されている。
 ビタミンDは骨粗鬆症のリスクに対してだけではなく
 転倒抑制効果が注目されている

 カルシウム単独よりカルシウムとビタミンDを一緒に摂取することで
 筋骨格系の改善がみられ転倒率を改善
することができる。