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院内勉強会「原因不明の非特異的腰痛」「椎間板変性腰部痛」について

こんにちは 理学療法士の小幡です

今回は「原因不明の非特異的腰痛」「椎間板変性腰部痛」についてまとめていきます

 

○非特異的腰痛とは

 「痛みは腰部に起因するが、下肢に神経根や馬尾由来の症状がなく、重篤な基礎疾患による症状を含んでいない痛み」と定義

○特異的腰痛とは

 「腫瘍、骨折、感染症、強直性脊椎炎などの炎症性疾患、神経根障害および馬尾症候群など」特異的病態に起因する腰痛

 

○画像検査や心理社会的因子の関与を評価することが勧められる場合

①重篤な脊椎疾患を疑うべきred flags(危険信号)を有する場合

  ・発症年齢  20歳以下または55歳以上

  ・時間や活動性に関係のない腰痛

  ・胸部痛

  ・癌、ステロイド治療、HIV感染の既往(免疫力の低下)

  ・栄養不良

  ・体重減少(消耗性疾患)

  ・広範囲に及ぶ神経症状(ALSなど神経内科的なもの)

  ・構築性脊柱変形

  ・発熱(炎症)

②1か月以上の治療によって改善が得られない場合

 

○見逃されやすい特異的腰痛の例

 ①腫瘍による腰痛

  →悪性腫瘍(原発性または転移性)は、腰背部痛の原因として
    
1%未満に過ぎない

   ⇒生命予後に関わるため、常に鑑別の念頭に置くことが必要

→癌の既往歴(特に前立腺癌、肺癌、および乳癌)がある高齢者
    では、腰痛の原因として、常に転移性脊椎腫瘍を考慮する必要
    がある

  ②骨折による腰痛

   →非特異的腰痛として初期対応される腰痛患者のなかに、
    外傷性の病態が含まれている場合がある

   →活動性の高い比較的若年の患者では、成人発症の新鮮分離症や
    仙骨疲労骨折などの外傷性の病態に注意が必要

   →高齢者の腰背部痛において、椎体骨折は重要な鑑別診断の一つ
    である

    有用なred flagsは a.高齢(男性65歳以上、女性75歳以上) 
             b.長期間のステロイド使用 
             c.重症外傷の併発 
             d.受傷機転の存在 

  ③感染症による腰痛

   →化膿性脊椎炎の約9割で腰痛を伴い、安静時にも存在する
    のが特徴

  ④強直性脊椎炎による腰痛

  ⑤血管性病変による腰痛

   →腰痛を引き起こす重篤な血管病変として、腹部大動脈瘤と
    急性大動脈解離がある

   →腹部大動脈瘤の破裂は9割以上で腰背部痛を伴う

   →上行性大動脈に解離を認めないStanford B型の大動脈解離
    では
5割が腰痛・背部痛のみを主訴とする

  ⑥その他の原因による腰痛

   →腎・泌尿器系の悪性腫瘍(腎臓癌、尿管癌、膀胱癌)は、
    慢性の腰背部痛の原因となりうる

   →腎結石も持続性の鈍痛を生じる

   →尿路結石では、急性に発症する激しい腰痛、側腹部、
    鼠径部への放散痛を生じ、悪心や嘔吐などの消化器症状
    を伴うこともある。発作性の片側の腰背部痛であり、結石
    の部位により痛みの移動があるため、非特異的腰痛との
    鑑別は容易である

 

☆椎間板性腰痛の病態

 ①急性椎間板性腰痛

 正常な椎間板は表層にしか知覚神経が存在しないことより、
 知覚神経の存在する領域まで断裂による病的変化が及んだ
 ときに急性腰痛が出現すると思われている。

 線維輪に断裂が起きると同部には組織に修復機転が働き炎症性
 サイトカインが発現する。その影響が表層の神経組織に影響
 した場合には急性腰痛として発症する可能性がある。

 ②慢性椎間板性腰痛

 椎間板断裂部の正常な修復が得られない(繰り返す断裂や、
 炎症の遷延化など)。

 断裂部には神経侵入や微小炎症の持続などの病変が起こり、
 同部は有痛性の瘢痕組織となる可能性がある。

 クッション機能が低下して椎間板内で圧力の集中が起こると、
 有痛性の瘢痕部は疼痛を発し、場合により圧力の集中を受けた
 椎体終板に炎症性変化をきたす可能性がある。

 椎間版断裂などにより椎間板変性が促進され、クッション機能
 が破綻すれば椎体終板変性や破壊が起こる

 無症候性の椎間板変性との相違点は、椎間板や椎間板や椎体
 終板内への神経侵入や微小炎症の持続などが考えられる