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院内勉強会 「疲労骨折 ~上肢・体幹~」

前回に引き続き、疲労骨折について院内勉強会を行ったため報告します。

疲労骨折とは、スポーツや重労働などに伴って生じる過労性骨障害の終末像です。
骨折に至れば復帰に長時間を要してしまう。安静と消炎鎮痛剤投与による対症療法は、症状の遷延化や再発を招くことが少なくないため、早期診断と正確な病態把握が重要となります。

過労性骨障害の早期診断には、X線検査では明確には把握できず、MRI検査が確実ではあるが、費用と時間、人手がかかる。そのため、超音波検査が有用であるとされています。

超音波検査では、骨膜肥厚と骨外膜経由で髄腔内への流入する血流増加が特徴的所見になります。

上肢の疲労骨折は全疲労骨折のうち10%以下といわれています。また、スポーツにより生じることが報告されているが、症例報告も散見しているため、まとまった報告は少ない。

第1肋骨疲労骨折
診断:ゴルフや野球の動作により牽引力や剪断力が強く加わり生じると考えられる。
治療:1か月程度のスポーツ禁止のみで改善する例が多く、2~3週間の安静で疼痛は軽快することがほとんどである。

上腕骨疲労骨折
診断:野球やテニスでみられ、過負荷や捻転力が強く加わり生じると考えられる。また、筋肉性の痛みと間違われることがあるため注意が必要となります。
治療:1か月程度の安静で改善する例が多いが、スポーツにより再発することが多く報告されているため、注意が必要とされている。

肘頭疲労骨折
診断:体操、ウエイトリフティング、弓道などでみられ、若年者に多く過負荷や牽引力が強く加わり生じると考えられる。タイプ分類を健側と比較して判断する。
治療:骨端線が離開している部分が健側と同等になるまで競技禁止し、靭帯損傷を合併していると治療に難渋することがあるため、手術を選択することもある。

骨盤の疲労骨折
診断:女子陸上長距離やバスケットボール選手に多い。診断と復帰判定にNoakesらの三徴①ランニングの障害となる鼠径部痛②患側片脚立位での鼠径部不快感・疼痛③圧痛が有用である。
治療:1~2か月間はランニングを中止し、三徴が認められなくなってから開始する。体脂肪率低下にて女性ホルモン分泌減少による骨塩量低下が疲労骨折を起こしやすく、しっかりした食事指導も重要となる。また、高齢によりホルモン分泌減少で生じることある。