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院内勉強会 「腰椎分離症について」

こんにちは 

理学療法士の小幡です

 

先日、院内勉強会にて「腰椎分離症」について学びました

 

☆腰椎分離症とは


 腰椎椎弓を構成する上・下関節突起superior and inferior
articular processesの間の関節突起間pars interticularis連続性が疲労骨折により、断たれた状態で、発育期スポーツ選手に好発しています。


 多くはL5椎に発生し、X線学的には45°斜位撮影像でよく
とらえられます。

 

☆発生頻度


 日本人の約6%の頻度で発生する疾患で、一般には
腰痛の原因になりにくいとされています。

 酒巻らは整形外科クリニックにおける3年間にわたるprospective studyを行った結果、高校生以下で2週間以上続く腰痛患者においては、その約40%は分離症が原因であり、またそのほとんど(約9割)は中高生であったそうです。これらのことから分離症の発症(発生)は、小学生が10%、中学生が60%、高校生が30%と考えられます。

 

CTによる病気分類について


 初期:部分的骨透亮像やhair line様の亀裂が認められる。

 進行期:明瞭な亀裂を伴うが分離部周囲の骨硬化は認めない。

 終末期:分離部周囲に骨硬化がみられる。いわゆる偽関節である。

 

 初期分離を強く疑う場合には、MPRmulti planar reconstruction:多断面再構成像)像により関節突起間部に合わせたsagittal view 、また椎弓の腹尾側部分に合わせたoblique axial像を注意深く観察することが重要です

 

☆治療方針について


 1.(超)初期分離症に対する治療

 骨癒合を目指した治療を行います。

 単純X線・CTでは骨折線ははっきりしないが、MRIで椎弓根周辺に骨髄浮腫様高度変化がみられる状態(超初期)から、部分的骨透亮像やHair line様の亀裂が認められる状態(初期)までの場合、骨癒合率は90%で、平均約3か月は必要とします。

 

 2.進行期分離症に対する治療

 基本的には初期分離症に対する治療に従います。

 MRIにおける椎弓根周辺の骨髄浮腫様輝度変化の有無により骨癒合率は異なります(輝度変化あり:約60%、輝度変化なし:約30% 

※コルセットの着用がなくても治っている可能性ありの数値)

 骨癒合に必要とされた期間は56か月です。

 

 3.終末期分離症に対する治療

 骨癒合の可能性は0%であり、疼痛管理が治療の主体となります

 治療において念頭に置かなければならない点は、
①分離すべり症への進展

②分離部滑膜炎
ragged edgeによる神経根症状
3点があげられます。

 

☆分離すべり症への進展に関して


 分離すべり症は成長軟骨で発生することから、終末期分離症が完成した
骨年齢(実年齢ではなく)によって頻度は異なります。

 終末期分離症の完成が二次骨化核出現前では、約80%の症例ですべりを生じており、二次骨化核が出現してからは約10%と激減し、椎体が完全に成熟した後では、0%となったそうです。

 そのため、小学生など低年齢で発症した場合には、特にすべり症への進行が危惧されます。

 

☆予防対策について


 分離症の発症・再発予防の一環として、ハムストリングスの柔軟性の獲得

が重要とされています。

 ハムストリングスが柔軟になると骨盤の動きが増加し、運動中の腰部にかかる負荷が減少しますので、Jack-knife stretching などを行うとよいとされています。